都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

「ショーシャンクの空に」とトランプの「壁」

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昨晩テレビで「ショーシャンクの空に」を観た。

何度見てもいい映画だ。

ストーリーはよくある脱獄劇だが、副主人公モーガン・フリーマンのナレーションがいい。言葉が哲学的でかつ詩的なのだ。

印象的なシーンは、年老いた受刑者が50年ぶりに釈放されて街で働きはじめ、自分の居場所がないこと感じて首を吊る場面である。

主人公の脱獄成功と所長の悪事がばれるのは快感だが、この映画のポイントは、刑務所の内部社会と一般社会との対比であり、刑務所社会に慣れた人間にとって一般社会が住みにくいということである。

「刑務所の高い壁を、最初は憎む。やがて慣れる。そしていつのまにか依存するようになるんだ」

このセリフがこの映画の精神を端的に表現する。

結局、主人公と副主人公はメキシコへ逃げてハッピーエンド。アメリカの犯罪映画にはそういうエンドが結構ある。アメリカという監視社会にとってメキシコが隠れて生きる別世界なのだが、僕は思った。

トランプの壁が建設されたら、アメリカ人はメキシコへ逃亡できなくなって、息苦しさを感じるのではないか。経済的に困るのはメキシコ人かもしれないが、精神的に困るのはアメリカ人かもしれない。

パレスティナにも壁、EUにも社会的な壁、もちろん日本にも壁はある。人間集団は、常にある種の「壁」と、そこを抜ける「通路」を必要としているのかもしれない。

 

トランプとマッカーサー・その2

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トランプとマッカーサーというタイトルで、GHQの本拠地であった第一生命ビルについての「THE・PAGE」の記事を紹介したが、この二人をもう少し比較したい。対象点と共通点があるからだ。

マッカーサーは、第二次世界大戦の英雄である。

トランプは、不動産王である。

マッカーサーは、有力な大統領候補だったがなれなかった。

トランプは、予想を裏切って大統領となった。

マッカーサーは、日本に敵対したが、解任されるときは、日本人の忠節と勤勉を褒め称えた。

トランプは、大統領になる前は、日本の貿易が不公正と批判したが、今では最大の友人んとしている。

マッカーサーは、朝鮮戦争の総指揮官で、核の使用を主張した。

トランプは、北朝鮮に対して武力行使をする可能性がある。

 

少なくともトランプ大統領は、日本に対して大きな軍事的な決断をしうるマッカーサー以来のアメリカ人であろう。

日本は武士の国か

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トランプ大統領は「日本は武士の国」という発言を何度かしたようだ。

これに対して、あるテレビ局の人が「ほとんどは農民だったのだから、日本は武士の国じゃない」と批判した。

日本の武士は、単なる軍人ではない。上は貴族に近く、下は農民に近い、日本独特の階級である。よく戦う者であると同時に、よく学ぶ者でもあり、軍事だけではなく、文書階級つまり官僚でもあった。そういった独特の階級が日本史の中核をなし、日本文化の中核をなしているのだから「日本は武士の国」という発言は間違いではないと思われる。

トランプとマッカーサー

thepage.jp

本日、街を歩いたら、どこにでも警察官が立っていた。ものものしい警備である。

ちょうどトランプ大統領来日の折、「THE・PAGE」に、マッカーサーの本拠地となった建築について書いた。アメリカの力、特に軍事的な放射力は、未だに日本を縛り付けている。

イバンカ氏は政治家かお嬢さんか

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イバンカ氏の来日は、どういうニュースなのだろうか。

ふと、そう思った。

政治家の来日なのか、お嬢さんの来日なのか。

補佐官だから政治家なのだろうが、まったくそういう感じではないような気もする。珍しい現象だ。

前に、オバマ大統領の国務長官になったヒラリー・クリントン氏が、最初の訪問国として来日したときは、米国の外交責任者として、日米関係の重要性(コーナー・ストーンという建築的なフレーズを使ったのでよく覚えている)を強調した。

今回はそれほど正式な外交感覚ではない。

しかし意外に、彼女の待遇と印象が、政治マターとして大きな意味を持つかもしれない。そういう感覚を、日本政府もマスコミも、抱いているのではないか。それほど、前代未聞の大統領ということだ。

 

電気自動車ブームと異常気象

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電気自動車ブームである。

ヨーロッパではディーゼルが省エネとされていたが、フォルクスワーゲンのデータ改ざんなどから、電気自動車への機運が高まり、アメリカやアジアへも波及しつつある。日本でも大きな話題になっている。

もちろん、ガソリン車と違って排ガスを出さないので「環境にやさしい」というのが最大の売りだ。問題はチャージに時間がかかるのと、連続走行距離だとされている。

しかし不思議だと思うのは、マスコミの報道で、発電段階で炭酸ガスを出すことがまったく語られないことである。

スタンドの電気は発電所によって生まれるのであり、原子力、火力、水力、太陽光、風力などがあるが、色々な理由から総合的には火力が主で、大量の炭酸ガスが発生する。それが地球温暖化、異常気象の原因となっていることは、ほぼ世界の科学者が認めるところなのだから、人類は全体的な電力消費を抑える必要があるのだ。

テレビや新聞は、なぜ、電気自動車と発電と炭酸ガスと異常気象の関係を報道しないのだろうか。理系の人間としては首をかしげざるを得ない。

内部に向かうテロ

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ニュヨークでは、またしてもテロ。

座間では、生臭い殺人事件。

テロリズムには、集団の外部に向かうものと、内部に向かうものとがある。

日本社会は、内部に向かうテロに対処しなければならない。

外部に向かう国から大統領がやって来て、座間に近い横田基地に到着、そのままゴルフ場に向かうという。

内部に向かう国の首相は、付き合いながら国難解決か。