都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

SMAPの時代

美空ひばりにはひばりの時代があった。 焼跡から立ち上がろうとしていた。 慎太郎と裕次郎には、石原兄弟の時代があった。 何かに挑戦しようとしていた。 フォーク・グループにはフォークの時代があった。 成長の矛盾を叫ぼうとしていた。 SMAPにはSMAPの時…

警察の執念と監視社会

昭和45年における渋谷暴動事件の容疑者が逮捕された。 警察の執念を感じる。 デモはマス(人間集団)とマスの激突であり、混乱の極致である。その中から容疑者を特定し、46年間にわたって追い続けるのは並大抵のことではない。大学にまで行かせてもらってい…

民主主義は残酷

築地市場における小池知事の説明に対して、業者の方から「行くか行かないかを自分たちに決めさせるのは酷だ。知事が決めてくれれば、自分たちは従うほかないのだ」という意見が出た。 そのとおりだと思った。 前に、沖縄の普天間移転に関して、農家のおばち…

チェスと囲碁と碁会所と民族

バークレイの東ヨーロッパから来た研究者たちは、チェスのクラブをつくっていた。 僕も仲間に入れてもらったが、若いころ将棋をやっていたので、すぐ強くなった。しかしこのころは囲碁が主な趣味で、いつも本を読んだり、ネットで対戦したりしていたので、彼…

アメリカの知的ふところ

カリフォルニア大学バークレイ校の客員研究員だった頃、インタナショナルハウス(ロックフェラーが創設した留学生用ドミトリー ニューヨークにもある 通称アイハウス)に入っていた。食事もついているから一人暮らしにはとても便利だ。 ちょうどベルリンの壁…

周縁の文化・日本建築の良さを教えたチェコ人

コンドルは日本人に洋風建築を教えたが、その後、帝国ホテルを設計するライトの助手として来日し、そのまま日本に住んで、モダニズムと和風の融合を教えたのがアントニン・レーモンドだ。 チェコ出身、ボヘミアンだ。この言葉はヨーロッパの長い歴史の中で、…

安倍政権の文化的矛盾

森友、加計問題から浮かび上がる安倍政権の問題点を文化論として書きました。そこには、明治維新、太平洋戦争、冷戦構造をつうじた日本政治の矛盾が浮かび上がってきます。

安倍首相の代理戦争

前川前文科省事務次官の会見と、それにまつわる官僚、元官僚の話を聞いていると、官僚組織の内部に、安倍派と反安倍派がいて、激しい葛藤を演じていることが感じられる。 これはマスコミにもあるようで、単に朝日VS読売といったことでなく、それぞれの記者に…

BSと高齢者

どうもテレビは、地上波よりBSの方がレベルが高いようだ。 テレビ局の知人に聞いたら「そのとおりだ」という。それでも視聴率は地上波の方がはるかに高くて、BSを見るのは大体が高齢者だともいう。つまり年寄りの方が、知的レベルが高いのだろうか。 年とと…

教育は無償であるべきか

安倍首相は憲法改正に高等教育の無償化を盛り込もうといしているようだが、これはどうだろうか。九条が大きな問題でありすぎて、あまり語られていないし、野党も反対はしにくい。 僕は経験から、学生には随分と個人差があって、学問に向いている学生と、あま…

地から湧き出るスポーツ

テレビで、壁を登るボルダリングというスポーツを見た。 それなりに面白い。 最近は、スケボーやスノボー、曲乗りの自転車やスキーなど、曲芸に近いスポーツが流行っている。 新しいスポーツが、大地から湧き出るように登場する時代なのだ。 古典的なスポー…

スポーツと帝国主義

WBCすなわち野球の世界戦に出てくる強国は、アメリカ、日本、台湾、韓国、キューバ、プエルトリコなど、思想的政治的にはどうあれ、アメリカ文化が浸透している国だ。 サッカーが強いのは、ヨーロッパと南米、特にスペイン語文化圏だ。 ラグビーが強いのは、…

おもしろく哀しい日本文化

「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」 芭蕉は鵜飼をこう詠んだ。 僕はこう詠みたい。 「おもしろうてやがて哀しき日本かな」 今、外国人が日本文化をおもしろがっている。しかしその深みにある哀しみも感じてもらいたい。天皇、ヒロシマ、さくら、津波。

マクロン・資本の矛盾から国家の矛盾へ

マカロンは甘い味がするが、マクロンはどうか。 政治信条と若さの点で、トランプ現象とは逆のようだが、どちらも女性候補と、右派候補が、国を二分する戦いを演じたことでは共通している。 女性と右派の進出。それは何を意味するのか。 たしかなことは、かつ…

安倍首相の憲法改正案

安倍首相が、かなりマイルドな憲法改正案を提示した。 僕は、平和精神を保ちながら自衛隊を認めるという、最低限の9条改正ならありうると考えていた。政治家や官僚はともかく、学者の多くは現状を憲法違反と判断しているようで、理系とはいえ僕も学者の端く…

人生と歴史の霹靂

東日本大震災のときは、自宅の書架から本が飛び出してきた。 ニューヨークの9・11のときは、二機目をライブで見た。 地下鉄サリン事件のときは、原因が分からない不安が大きかった。 阪神淡路大震災のときは、テレビ映像が嘘のようだった。 すべて、青天…

コメント公開

コメントを公開するようにしましたので、ご意見がありましたら、どしどし書き込んでください。

辰野隆と後藤慶二

東京駅を設計し、明治建築界の法王とされた辰野金吾の息子辰野隆について考えている。 父金吾は謹厳実直、大変な努力家であったことが隆の残したものからも分かる。しかし息子はその反対に軟弱洒脱であったようだ。漱石と荷風の影響を受け、フランス文学を専…

技術屋の保守性

科学技術は常に進歩しているが、人間とその社会はあまり進歩していない。 僕はそう考えている。 つまり科学技術に関しては常に革新的だが、人間とその社会に関してはどうも保守的なのだ。 僕の周りは圧倒的に技術屋が多く、たいていはそう考えているような気…

訪問販売

僕は学生時代、さまざまなアルバイトをやった。 もちろん経済的な必要からだが、いろいろ経験することが好きだったのだ。 訪問販売を二回やった。どちらも短期間で、たしか春休みだったような気がする。 一つはガス湯沸かし器、もう一つは百科事典のセット。…

桑原武夫の蔵書

桑原武夫さんの蔵書が、遺族に無断で廃棄されていたという。 京都市の図書館に寄贈していたものだが、ダンボール数百個分あり、それが邪魔になったからで、廃棄した職員が咎められた。 桑原武夫は、フランス文学が専門だが、きわめて幅の広い学者で、今西錦…

ザ・ページ

最近、ブログの記事が減っていると、言われます。 ヤフーが運営するニュースサイトに連載して、そちらに力を取られていますので、そちらもご覧ください。建築からの文化論(都市化の残像)が中心です。 「THE・PAGE 若山滋」で検索してください。

団体戦の羽生結弦

羽生結弦が珍しくミスをした。 二つのことを考えた。 このところ彼は気負いすぎているように見えること。 もう一つは、団体戦のエースという重圧だ。個人戦とは異なる、特別なものがあるに違いない。思い出すのは、WBCでのイチローの不振だ。 しかしイチロー…

カールビンソンという都市力

テレビでカールビンソンという空母の概要が紹介されるのを見て思った。 基地の街がそのまま移動してくるようなものだ。 戦力としての都市力である。 これに同じ都市力で対抗しようとする試みはすべて失敗した。ドイツ、日本、ソビエト。 これを手こずらせた…

核兵器の忖度

日本は国連で、核兵器禁止条約に参加しないと表明した。 僕は安全保障に関しては、理想主義ではなく、現実主義であり、それなりの防衛配慮は必要と考える方だが、被爆国としての魂は売り渡して欲しくなかった。 精神的原則の問題と、現実的戦略の問題を分け…

スマホ人間学・その2

ホモ・サピエンスは、ホモ・スマホスに変化しました。 そこで「スマホ人間学会=ホモ・スマホス学会」を設立します。 人類が直面した新しい現象に関する超短い論文をお寄せください。 入会金ゼロ、年会費ゼロ、論文掲載料ゼロ、どこかの学会よりずっとお値打…

スマホ人間学

電車の中、プラットホーム、ほとんどの人がスマホを見ている。 覗き込むと、ゲームとメールがほとんど。漫画を読んでいる人もいる。 ゲームは若者、と思いきや、結構中高年の女性もピコピコ。 ネイルの爪で画面が傷つかないかとも思う。 ホモ・サピエンスは…

ラ・ラ・ランドの夢と挫折

映画「ラ・ラ・ランド」を観た。 少し哀しく大いに楽しい、いい映画だった。 昔あったアメリカン・ミュージカルの夢が蘇った。フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース、ジョージ・チャキリスとリタ・モレノ、そしてジュリー・アンドリュース。 主題歌の…

稀勢の里と日本社会ーその2

稀勢の里が感動の優勝を果たした。日本中が感動した。僕も感動した。 しかしふと、モンゴル出身の力士が敵役になっていることに気がついた。 あれだけ日本を愛し、ついに帰化して日本人となったドナルド・キーン氏が、リオ・オリンピックの報道を観ていて「…

変人喚問

目上の人に「変人ですね」と言って、えらく怒られたことがある。 僕は、褒めたつもりだったが、そうは受け取られなかったようだ。考えてみれば「変人」を尊称と考える方が変人かもしれない。僕は昔から変人に憧れているのだが、なかなかなりきれない自分をダ…

技術屋と財政赤字

僕の周りには、無骨な技術屋が多く、みな経済には素人である。そしてこの国の巨額の財政赤字を心配している。 ところが金融や経済や財政の専門家の話を聞くと、どうもあまり心配しているようには思えない。 その意見には三種類ある。一つ目は、日本政府は外…

鎌倉=幕府街

鎌倉を歩いてみると、この街が平城京や平安京のような都ではなく、一つの砦のようなものであったことがよく分かる。 鶴岡八幡宮が位置する山地から、材木座や稲村ヶ崎という海岸に至るまでの、本宮通り、小町通りが、この街の中心軸であるが、それが海に向か…

日本の都市軸

文字のなかった時代、日本の実態は、数々の遺跡と中国の歴史に頼るほかはない。 『魏志倭人伝』に記述される卑弥呼の邪馬台国は、北九州説と大和説で分かれているが、ある時点で、卑弥呼もしくはその後継勢力が、北九州から大和に移ったという説も有力である…

トランプの振子と都市化の波

先に、トランプ現象はどこまで遡る振幅の振子と見るべきか、と書いた。 一つ目は、ベルリンの壁崩壊以後のグローバリズム。 二つ目は、第二次大戦後の国際主義。 三つ目は、17、8世紀ヨーロッパの啓蒙主義。 それが「都市化の波」に対応すると書いた。 人…

小池石原劇場

小池百合子と石原慎太郎。「竜虎相搏つ」という感じになって来た。 政治家同士の対決と言えば、これまで吉田茂と鳩山一郎、田中角栄と福田赳夫、安倍晋太郎と竹下登など、自民党の領袖たち、いわば政治のプロどうしの対決であり、永田町の数の論理で決着がつ…

東芝・日本技術帝国の崩壊

数寄屋橋のソニービルが解体され、しばらくは公園になるという。 向かいには昨年オープンした東急プラザ。阪急が入っていたが、もとは東芝の松田ビルであった。 東芝は明治初期以来の、重電を中心とする大企業であり、ソニーは戦後急成長した、主としてオー…

もう一つの事実のもう一つの事実

「事実は一つであってほしい」と、テレビのコメンテイターが強く言った。 そのとおりだ。僕も「もう一つの事実」という言葉の流行に嫌な印象を受ける。 アメリカで、トランプ大統領の報道官が、就任式に人が少なかったのを史上最大の人数として「alternative…

首脳の親密(晋三・ドナルド)=諸刃の剣

国家の首脳同士が良好な関係というのは、双方の国民にとって、きわめていいことである。 しかしあまりにもベタベタの親密というのはどうだろう。 しかもその相手が、金ピカ趣味の、世界のメディアが批判する政治家となると。 軍事同盟は平和にとって諸刃の剣…

最期の出会い

ある総合病院でソファに座って診断をまっているとき、車椅子に乗った相当に高齢のご婦人と目があった。向こうがニコッとしたので、こちらもニコッとした。息子さんらしい人が車椅子を押していたが、その人もすでに高齢者と言っていい。 しばらくしてその人の…

「家」と「やど」

東京の設計事務所から名古屋の大学に赴任して、何か新しいタイプの研究をやろうと、「文学の中の建築」というテーマに取り組み、大上段に『万葉集』から取りかかったことは前にも書いた。 万葉4500首あまりに、もっとも多く登場する建築用語は「家」であり、…

トランプの振子

トランプ現象と政治的性格について論じてきた。 端的に言えば、人間の政治的性格を「A面=普遍性=都市力」と「B面=固有性=風土力」に分け、トランプ現象(トランプ個人の評価とは切り離して)をB面と位置づけた。 世界の政治力学がB面に振れているが、さ…

人生と地球

時にはパタパタと 時にはスイスイと 人生は過ぎていく ふと立ち止まって 風に問う 何か意味があるのだろうか、と 人生の意味? そんなものはない ただ、人類とやらのせいで、最近少し地球の空気が悪くなってきた だが、それも 宇宙の営みの中では、地球の存…

スーパーボールと大相撲

ペイトリオッツとファルコンズ、驚くべき試合だった。 トム・ブレディのプレーもさることながら、エデルマンのキャッチは歴史に残るだろう。大逆転だったから「どんなに不可能と思われても諦めてはいけない」とも思わされた 特別にアメフトのファンとうわけ…

米軍経費負担

相当の額だとは思っていたが、85パーセントまでとは思わなかった。 これがモデルというのなら、他の国はたまったものではない。 政府はこれまでつまびらかにしなかったのではないか。そして野党もマスコミもまったく批判しない。これまで許していたことが…

マティス国防長官の頼もしさ

獰猛いや勇猛で知られる海兵隊出身。湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争と、激戦地を戦い抜き、失った部下の家族をすべて訪問し、圧倒的な信頼と人望がある。膨大な戦史と哲学の本を読み、深い知識がある。日本にも勤務し、同盟国である日本の国旗が紛失し…

坊ちゃんと不良・日米首脳会談

あるテレビ番組(日曜日の朝のフジテレビ)で「安倍首相はお坊ちゃんだが、不良と付き合うのがうまい」という発言があった。 なかなか巧みな表現だ。 たしかに安倍総理は、祖父も総理大臣、父も総理候補の政治家、妻は大企業のお嬢さんという、お坊ちゃんで…

野生社会と管理社会

小池百合子ブームの前は田中角栄ブームであった。 これとトランプ現象との関連はあるだろうか。もちろん彼が大統領になる前だが、先進社会が豪腕のリーダーを求める傾向とは関連があるだろう。 トランプ、プーチン、サルコジ、ベルルスコーニといった面々は…

ラスコーの空間秩序

ラスコーの洞窟壁画の展示を見に行った。 細長い洞窟の中に、馬、鹿、牛など、身近な動物たちがダイナミックなパノラマとなって展開される。もちろん写真のような写実性ではなく、ある特徴を誇張する筆法だが、生き生きとした動きをとらえる描写力に感心せざ…

都市化の暴力

『西部戦線異常なし』という映画は、ドイツの若い志願兵が戦死するまでの、塹壕線における恐怖と苦悩を描いている。 第一次世界大戦においては、歩兵が機関銃の弾幕から隠れる必要があり、塹壕戦とならざるをえない。ナポレオン戦争のような勇壮な歩兵戦、騎…

戦争と「都市力・風土力」

前に、ベトナム戦争で、アメリカはベトナムの「風土」に負けたと書いた。 歴史を振り返ってみると、これに似たことは何回か起きている。 ナポレオンとヒトラーがロシアで失敗したのは、ともに「冬将軍」すなわち厳しい吹雪による。 ナポレオンとその同盟軍は…