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都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

桑原武夫の蔵書

桑原武夫さんの蔵書が、遺族に無断で廃棄されていたという。 京都市の図書館に寄贈していたものだが、ダンボール数百個分あり、それが邪魔になったからで、廃棄した職員が咎められた。 桑原武夫は、フランス文学が専門だが、きわめて幅の広い学者で、今西錦…

ザ・ページ

最近、ブログの記事が減っていると、言われます。 ヤフーが運営するニュースサイトに連載して、そちらに力を取られていますので、そちらもご覧ください。建築からの文化論(都市化の残像)が中心です。 「THE・PAGE 若山滋」で検索してください。

団体戦の羽生結弦

羽生結弦が珍しくミスをした。 二つのことを考えた。 このところ彼は気負いすぎているように見えること。 もう一つは、団体戦のエースという重圧だ。個人戦とは異なる、特別なものがあるに違いない。思い出すのは、WBCでのイチローの不振だ。 しかしイチロー…

カールビンソンという都市力

テレビでカールビンソンという空母の概要が紹介されるのを見て思った。 基地の街がそのまま移動してくるようなものだ。 戦力としての都市力である。 これに同じ都市力で対抗しようとする試みはすべて失敗した。ドイツ、日本、ソビエト。 これを手こずらせた…

核兵器の忖度

日本は国連で、核兵器禁止条約に参加しないと表明した。 僕は安全保障に関しては、理想主義ではなく、現実主義であり、それなりの防衛配慮は必要と考える方だが、被爆国としての魂は売り渡して欲しくなかった。 精神的原則の問題と、現実的戦略の問題を分け…

スマホ人間学・その2

ホモ・サピエンスは、ホモ・スマホスに変化しました。 そこで「スマホ人間学会=ホモ・スマホス学会」を設立します。 人類が直面した新しい現象に関する超短い論文をお寄せください。 入会金ゼロ、年会費ゼロ、論文掲載料ゼロ、どこかの学会よりずっとお値打…

スマホ人間学

電車の中、プラットホーム、ほとんどの人がスマホを見ている。 覗き込むと、ゲームとメールがほとんど。漫画を読んでいる人もいる。 ゲームは若者、と思いきや、結構中高年の女性もピコピコ。 ネイルの爪で画面が傷つかないかとも思う。 ホモ・サピエンスは…

ラ・ラ・ランドの夢と挫折

映画「ラ・ラ・ランド」を観た。 少し哀しく大いに楽しい、いい映画だった。 昔あったアメリカン・ミュージカルの夢が蘇った。フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース、ジョージ・チャキリスとリタ・モレノ、そしてジュリー・アンドリュース。 主題歌の…

稀勢の里と日本社会ーその2

稀勢の里が感動の優勝を果たした。日本中が感動した。僕も感動した。 しかしふと、モンゴル出身の力士が敵役になっていることに気がついた。 あれだけ日本を愛し、ついに帰化して日本人となったドナルド・キーン氏が、リオ・オリンピックの報道を観ていて「…

変人喚問

目上の人に「変人ですね」と言って、えらく怒られたことがある。 僕は、褒めたつもりだったが、そうは受け取られなかったようだ。考えてみれば「変人」を尊称と考える方が変人かもしれない。僕は昔から変人に憧れているのだが、なかなかなりきれない自分をダ…

技術屋と財政赤字

僕の周りには、無骨な技術屋が多く、みな経済には素人である。そしてこの国の巨額の財政赤字を心配している。 ところが金融や経済や財政の専門家の話を聞くと、どうもあまり心配しているようには思えない。 その意見には三種類ある。一つ目は、日本政府は外…

鎌倉=幕府街

鎌倉を歩いてみると、この街が平城京や平安京のような都ではなく、一つの砦のようなものであったことがよく分かる。 鶴岡八幡宮が位置する山地から、材木座や稲村ヶ崎という海岸に至るまでの、本宮通り、小町通りが、この街の中心軸であるが、それが海に向か…

日本の都市軸

文字のなかった時代、日本の実態は、数々の遺跡と中国の歴史に頼るほかはない。 『魏志倭人伝』に記述される卑弥呼の邪馬台国は、北九州説と大和説で分かれているが、ある時点で、卑弥呼もしくはその後継勢力が、北九州から大和に移ったという説も有力である…

トランプの振子と都市化の波

先に、トランプ現象はどこまで遡る振幅の振子と見るべきか、と書いた。 一つ目は、ベルリンの壁崩壊以後のグローバリズム。 二つ目は、第二次大戦後の国際主義。 三つ目は、17、8世紀ヨーロッパの啓蒙主義。 それが「都市化の波」に対応すると書いた。 人…

小池石原劇場

小池百合子と石原慎太郎。「竜虎相搏つ」という感じになって来た。 政治家同士の対決と言えば、これまで吉田茂と鳩山一郎、田中角栄と福田赳夫、安倍晋太郎と竹下登など、自民党の領袖たち、いわば政治のプロどうしの対決であり、永田町の数の論理で決着がつ…

東芝・日本技術帝国の崩壊

数寄屋橋のソニービルが解体され、しばらくは公園になるという。 向かいには昨年オープンした東急プラザ。阪急が入っていたが、もとは東芝の松田ビルであった。 東芝は明治初期以来の、重電を中心とする大企業であり、ソニーは戦後急成長した、主としてオー…

もう一つの事実のもう一つの事実

「事実は一つであってほしい」と、テレビのコメンテイターが強く言った。 そのとおりだ。僕も「もう一つの事実」という言葉の流行に嫌な印象を受ける。 アメリカで、トランプ大統領の報道官が、就任式に人が少なかったのを史上最大の人数として「alternative…

首脳の親密(晋三・ドナルド)=諸刃の剣

国家の首脳同士が良好な関係というのは、双方の国民にとって、きわめていいことである。 しかしあまりにもベタベタの親密というのはどうだろう。 しかもその相手が、金ピカ趣味の、世界のメディアが批判する政治家となると。 軍事同盟は平和にとって諸刃の剣…

最期の出会い

ある総合病院でソファに座って診断をまっているとき、車椅子に乗った相当に高齢のご婦人と目があった。向こうがニコッとしたので、こちらもニコッとした。息子さんらしい人が車椅子を押していたが、その人もすでに高齢者と言っていい。 しばらくしてその人の…

「家」と「やど」

東京の設計事務所から名古屋の大学に赴任して、何か新しいタイプの研究をやろうと、「文学の中の建築」というテーマに取り組み、大上段に『万葉集』から取りかかったことは前にも書いた。 万葉4500首あまりに、もっとも多く登場する建築用語は「家」であり、…

トランプの振子

トランプ現象と政治的性格について論じてきた。 端的に言えば、人間の政治的性格を「A面=普遍性=都市力」と「B面=固有性=風土力」に分け、トランプ現象(トランプ個人の評価とは切り離して)をB面と位置づけた。 世界の政治力学がB面に振れているが、さ…

人生と地球

時にはパタパタと 時にはスイスイと 人生は過ぎていく ふと立ち止まって 風に問う 何か意味があるのだろうか、と 人生の意味? そんなものはない ただ、人類とやらのせいで、最近少し地球の空気が悪くなってきた だが、それも 宇宙の営みの中では、地球の存…

スーパーボールと大相撲

ペイトリオッツとファルコンズ、驚くべき試合だった。 トム・ブレディのプレーもさることながら、エデルマンのキャッチは歴史に残るだろう。大逆転だったから「どんなに不可能と思われても諦めてはいけない」とも思わされた 特別にアメフトのファンとうわけ…

米軍経費負担

相当の額だとは思っていたが、85パーセントまでとは思わなかった。 これがモデルというのなら、他の国はたまったものではない。 政府はこれまでつまびらかにしなかったのではないか。そして野党もマスコミもまったく批判しない。これまで許していたことが…

マティス国防長官の頼もしさ

獰猛いや勇猛で知られる海兵隊出身。湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争と、激戦地を戦い抜き、失った部下の家族をすべて訪問し、圧倒的な信頼と人望がある。膨大な戦史と哲学の本を読み、深い知識がある。日本にも勤務し、同盟国である日本の国旗が紛失し…

坊ちゃんと不良・日米首脳会談

あるテレビ番組(日曜日の朝のフジテレビ)で「安倍首相はお坊ちゃんだが、不良と付き合うのがうまい」という発言があった。 なかなか巧みな表現だ。 たしかに安倍総理は、祖父も総理大臣、父も総理候補の政治家、妻は大企業のお嬢さんという、お坊ちゃんで…

野生社会と管理社会

小池百合子ブームの前は田中角栄ブームであった。 これとトランプ現象との関連はあるだろうか。もちろん彼が大統領になる前だが、先進社会が豪腕のリーダーを求める傾向とは関連があるだろう。 トランプ、プーチン、サルコジ、ベルルスコーニといった面々は…

ラスコーの空間秩序

ラスコーの洞窟壁画の展示を見に行った。 細長い洞窟の中に、馬、鹿、牛など、身近な動物たちがダイナミックなパノラマとなって展開される。もちろん写真のような写実性ではなく、ある特徴を誇張する筆法だが、生き生きとした動きをとらえる描写力に感心せざ…

都市化の暴力

『西部戦線異常なし』という映画は、ドイツの若い志願兵が戦死するまでの、塹壕線における恐怖と苦悩を描いている。 第一次世界大戦においては、歩兵が機関銃の弾幕から隠れる必要があり、塹壕戦とならざるをえない。ナポレオン戦争のような勇壮な歩兵戦、騎…

戦争と「都市力・風土力」

前に、ベトナム戦争で、アメリカはベトナムの「風土」に負けたと書いた。 歴史を振り返ってみると、これに似たことは何回か起きている。 ナポレオンとヒトラーがロシアで失敗したのは、ともに「冬将軍」すなわち厳しい吹雪による。 ナポレオンとその同盟軍は…

言葉と後悔 双子の兄弟

言葉というやつは、頭の中にあるうちは、ぼんやりとして、形も定まらず、現れたり消えたり、きわめて頼りない存在だ。だから建築設計のエスキスのように、描いたり消したり、ああでもないこうでもないと、くんずほぐれつするうちに、少しずつ形になっていく…

政治的性格 A面=都市力 B面=風土力

トランプ現象と政治的性格について論じてきた。重なる部分もあるが、整理しよう。 人間は、他の生物と同様に群をなし、社会的動物でもあり、政治的動物でもある。 人間の集団は、複層的かつ可変的である。集団の最小単位は個人であり、最大単位は人類と考え…

この世界の片隅に

「この世界の片隅に」というアニメーション映画を観た。 素晴らしい作品だ。 戦争や原爆を、庶民の目線で、人生の流れと生活の日常から現象させることによって、その理不尽を描く。それはままあることだが、この作品は、庶民目線が徹底しており、ごく普通の…

大統領就任演説=ポピュリズムよりエゴイズム

トランプ大統領の就任演説は、よく言われるアメリカ主義なのだが、人間とか国家とかの「理念」がまったく感じられないことに少し驚いた。ここまで来ると、ポピュリズムというよりエゴイズムではないか。これでは説得力がないだろう。 人間にも国家にも、政治…

建築家の資質

建築家に必要な資質は何かと問われれば「少しトンがった真心」と答える。 つくることに対する真心であり、それが世間に多少の摩擦を生じる角となる。 あまりもち合わせない有名建築家もいるし、十分にもつ無名の建築家もいる。 真心が無ければ、つくるものに…

文科省と大学・知的腐食

文科省の組織的な天下りが問題になっている。 天下り先は大学である。 国立大学が法人化されてから、大学に対する文科省の力が驚くほど強くなった。そして教授や学部長や学長までが文科省から送られて来る。予算を獲得するために、大学もそれを受け入れる。 …

稀勢の里と日本社会

稀勢の里が優勝したことを日本中が喜んでいる。 本人のインタビューも涙、涙、「ホントに周りが支えてくれました、これからもホントに稽古に励んで、ホントに立派に勤めます」 周囲から精神的な弱さがあると言われ、本人もそれを認めているようだ。 若乃花以…

トランプ現象とアメリカの風土=荒野

大統領就任式を控え、マス・メディアはトランプの人間性と閣僚と政策の分析に忙しい。 しかしそれは徐々に明らかになることだ。それよりもこのトランプ現象が、アメリカを二分している事実について考えたい。 グローバリズムとアメリカニズム(国家第一とい…

壁の文化と屋根の文化

先に「積み上げる文化と組み立てる文化」について書いた。 建築からの文化論としては、分かりやすいキャッチフレーズであったが、「建築へ向かう旅」という本の中で、もう一つ踏み込んでみた。 積み上げる建築は「壁」の建築であり、組み立てる建築は「屋根…

本はページをめくるだけでいい

難しい本、面白くない本、やたらに厚い本など、途中でストップしてしまうことがある。 そのままにしておくと、本に負けたような気になるし、次の本に進みにくい。そういう本は、とにかくページをめくってしまうといい。内容が頭に入らなくても、目が何らかの…

本は後ろから読め

時々、本を後ろから読む。 やってみた人間でないと分からないが、それも一つの読書なのだ。 パラパラと後ろからページをめくる。精読はできないから、スピードが早い。しかも不思議にその本に書いてあることの構造が理解できる。そして重要なところだけ、し…

積み上げる文化・組み立てる文化

四年生のときに大学は紛争となり、バリケード封鎖の中の卒業。そのまま大学院に進んだのだが、設計と研究とどちらの道に進むべきかで大いに迷い、迷いながら哲学や評論を読んだ。すでに両親は亡く姉たちは嫁に行って天涯孤独。 紛争のあとの虚脱感もあったの…

可愛いAI

先に、AIに関する論評が、打ち壊し運動とアシモフの時代の域を出ていないと書いた。 乱数発生と自己学習が生み出す、これまでのプログラムとの違いの本質に触れていないからだ。 乱数発生は、プログラムに偶然を取り込むことであり、これは創造力と想像力に…

政治的性格とは

トランプ現象から、「政治的性格のA面とB面」を語ってきた。 この政治的性格という言葉は、デビッド・リースマンが「孤独な群衆」において使った「社会的性格」に習ったものだ。 リースマンは、経済的テイクオフ(離陸すなわち急速な発展)以前の社会では、…

AI(人工知能)の論評

AI(人工知能)について、様々に論じられているが、もう一つピンとこない。 AIには、人間のような想像力も創造力もない、所詮人間がプログラムしたものだから人間を超えられない、といった意見によって、安心しようとする内容がほとんどだ。 かつて、機械が…

トランプ現象は三極構造

トランプ現象と、インターネットあるいはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)との関係は、あまり論じられていない。 ロシアがハッキングによって、クリントンのメールを流出させたという報道があるが、これは少し種類が異なる問題だ。 かつて、ケ…

ベトナム戦争と風土力

僕の青春時代は、ベトナム戦争の期間とほぼ同時期であった。 われわれの政治意識の背景には常に、日本の物質的繁栄とベトナムの惨劇が存在したのだ。あの大学紛争というものも、この戦争と密接につながっていた。 第一次世界大戦以来、最大の軍事強国として…

智に働けば角が立つ=深知

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。 ご存知「草枕」の冒頭、漱石をあまり読まない人でもこの言葉は知っている。人間とその社会を考える上で、やはり名言だと思われる。 これまで政治的性格のA面とB面について書いてきたが、A面はこの「智」に、B面…

スポーツ資本主義=情動資本主義

先に、体育会系は下火と書いたが、スポーツが衰退したわけではない。逆に大いに盛り上がっている。 国際的に見て、サッカー、野球、フットボール(アメフト)、バスケットボール、テニスなどは、大きな集客力と資金力を有し、コマーシャリズム(消費宣伝)と…

体育会系とアマチュア・スポーツ

先のブログで、トランプやプーチンといった政治家(すなわちB面の)を「体育会系」という言葉で表現した。 現在、特定の人気スポーツ(例えばプロになって稼げるような)を除けば、体育会系は下火である。 友人たちが集まって話をすると、それぞれの部活動の…