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都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

打撃コーチを見抜く神様

王貞治選手の一本足打法を生んだ荒川博コーチが他界した。 懐かしい名前である。単なる打撃コーチとして、これほど有名になった方も珍しいだろう。 川上哲治氏が監督になった時に懇請したという。 一見、読み過ごしてしまうが、川上といえば、僕らが子どもの…

相手国民の心に響く外交

安倍首相が真珠湾を慰霊訪問するという。 この15日に日露首脳会談が予定されているから「返す刀で」という感がある。この行動力は評価したい。 吉田首相のサンフランシスコ平和条約、田中首相の日中平和友好条約、中曽根首相の国鉄民営化、小泉首相の郵政…

ニュースサイト連載

最近、ヤフーが運営するニュースサイト「ザ・ページ」に「都市化の残像」というタイトルで、連載を始めたので、そちらに力を取られ、ブログ更新回数が減っている。 具体的な建築から文化と社会を論じたもので、そちらも是非読んでいただきたい。 「都市力と…

トランプ現象と政治的性格の二面性

日本のマスコミは、アメリカのメディアに追従してクリントン氏勝利を予測し見事に裏切られた。選挙中はトランプ氏の主張がいかに無茶苦茶であるかを報じていたが、選挙後は打って変わって、彼の現実主義を報じている。 僕も彼の勝利には驚いた。しかし勝って…

立場の重圧

責任ある立場というものは、やりがいもあるが、重圧もある。 いつでも辞められるなら気が楽だ。企業経営者や政治家には、大まかな任期というものがある。 絶対に辞められないとなると、これは苦痛だ。天皇退位には反対の識者が多いという。 辞めると命の危険…

空を切る

真理、真実を書こうと、もがいていたのだが、それは言葉にできないものなのかもしれない。 星の王子様は「本当に大切なものは目に見えない」と言った。同じことだろう。本当に大切なことは、言葉では表現できないのだ。 本質を切ろうとすればするほど空を切…

カストロ・20世紀の英雄

フィデロ・カストロが死んだ。 アメリカとの国交正常化の後であった。 生き延びた英雄であり、生き延びた20世紀人でもある。 キューバ人は哀しみ、アメリカの亡命キューバ人は喜んだ。 一般に、革命のヒーローは政権の座に着くと、それまでの盟友を裏切り…

町内会長型と創業者型

プーチンは、選挙を経ているにせよ、強大な権限をもつ無期限の大統領という印象だ。 ソビエトが崩壊し、民主主義のロシアが誕生してから、独裁者が誕生したのである。 一般的には、選挙によってリーダーを選ぶ民主主義は、独裁者の出現を封じる機能をもつは…

小説

小説というものは、読み手によって、またその時期によって、ずいぶんと「意味」が変わるような気がする。だから、評判のものを読んであまり感動しなくても恥じることはないし、逆に感動したものが評判にならなくても寂しく思うこともない。すぐれて個人的な…

ボブ・ディランは素直だ

ボブ・ディランにノーベル文学賞と聞いて驚いた。 しかし連絡が取れず「受賞拒否か」という報道に、さすが「らしいな」と思っていた。 ところが「とても嬉しい。喜んでいる」とのコメントが出て、「なあんだ普通の人か」と思った。 しかしスケジュールが決ま…

拓郎と直太朗

ノーベル賞はもらえないだろうが、吉田拓郎はいい。 あの時代特有の、主張と、迷いと、諦念がある。 妙にプロテストする歌も、甘い恋愛歌も、甲高い声の気取った歌も、好みに合わない。 拓郎には独特の風物詩がある。そう言えば季節を感じさせる歌が多い。強…

ドナルド勝利は知識人の敗北か

米大統領選にドナルド氏が勝利して、あるテレビのコメンテイターから「自分も含めて知識人の敗北である」という発言が聞かれた。 たしかにこれまで、トランプ氏は、無知と言われ、ホラ吹きと言われ、大衆迎合と言われ、その支持者は、白人の労働者、貧困層、…

TPPと国内紛争国際紛争

「TPPをまとめようとしたとき、アメリカの言いなりになるなと野党に批判された。今度は、アメリカの大統領候補が両方とも反対しているのになぜ日本がと批判される」官房長官は言う。 だからこそ日本がリーダーシップを取るべきだと続けた。 このことは、一国…

マナーが変化

レストランに入って隣の席が近いと、話し声が耳に着く。夢中になって大声で喋る迷惑な人たちもいる。 一方、仕事の打合せなどでコーヒー店にはいっても、周りがシーンとして話ができる雰囲気ではない。図書館に入ったのかと勘違いする。 かつて、喫茶店でよ…

文明は発達、文化は。

韓国の大統領スキャンダルに関する報道は、怒号と罵声、なかなかに激しい。 歴代大統領が就任中または辞任後に親族の汚職などで訴追されているので、「やっぱりこの人もか」という感を拭えない。 一方、中国の総書記は「核心」という言葉で独裁体制を固めて…

風土力の歌集

設計事務所から大学に転じて、何か新しい分野を開拓しようと「文学の中に記述された建築」という研究に取り組んだ。当時流行していた心理実験やアンケートによって建築の意味を探ろうとする研究に疑問をもったからだ。建築の意味は、そういった手法で浮かび…

日本の都市力と風土力

英語の「civilization(シビライゼーション)」は、本来「都市化」を意味する。 これを「文明」と訳したのは、ヨーロッパと日本との、都市の現実が違いすぎたからではないか。大陸では、都市は城壁に囲まれ、石や煉瓦を積み上げた大きな共同体であるが、日本…

平将門と平和復興五輪

ある先輩との酒の上での会話。「猪瀬知事、舛添知事の失脚、新国立競技場の設計やり直し、エンブレムの盗用、与党ではない知事の圧勝、豊洲問題、その他競技場の見直しと・・・直接にも間接にも、このオリンピックには問題がつづきますね」「これだけ続くと…

10月3日

先日、あるドイツ人と話していて、10月3日が、再統一の日としてドイツ最大の記念日となっていることを知った。 アメリカは7月4日、独立記念日である。 フランスは7月14日、革命記念日であり、パリ祭である。 「日本は?」と聞かれ、はて・・・。 2…

ボブ・ディランにノーベル文学賞

「えっ! 文学賞に?・・・ふーん、まあ、なるほどそれもありか」 村上春樹の「風の歌を聴け」にも、ボブ・ディランの「風に吹かれて」の影響はあると思う。どちらも名作だ。 よくデビュー作を超えるのは難しいと言うけど、時代の風が吹いていたのだろう。イ…

アスリートファースト?

僕はスポーツ・ファンだ。 バラエティやらクイズやらはあまり面白くないし、ドラマも嘘っぽい。報道番組さえ信用できないところがある。スポーツには嘘がない。選手たちの努力とファインプレーには文句なく拍手を送りたい。国民の気持ちは、オリンピック・パ…

ノーベル賞と知的崩壊

母校の教授がノーベル賞を受賞、まずはめでたい。 すぐに役立つ研究に資金がまわり、基礎研究がおろそかになって、科学の空洞化が起きているという発言、そのとおりだと思う。 先日、昼食の席上、ある若い科学者と意見が一致した。 「最近の科学研究は、膨大…

地方議会の縮減

ある市役所を設計しているとき、市の担当者から「議会関係のところはどんなに立派につくっても文句が出ませんよ」と言われた。なるほどそのとおりだった。 文化施設の設計で議会説明に同席したこともあり、その後も色々と地方行政に携わってきた。 地方議員…

豊洲とオリンピック

豊洲の問題は、技術的なディテールがハッキリしないと何とも言えないが、コンクリート工学の専門家、特に遮蔽性の権威である知人は「危険性が明確にならないうちにマスコミが騒ぎすぎている」と言う。僕もそう思う。 新国立競技場以来の一連の問題の根底には…

アーノルド・パーマー追悼

あの頃、かの国の芝生は輝いて見えた。 今、二人の大統領候補は輝きを失っている。T氏は「まさか」。C氏は「またか」。 国内は、爆発(テロ?)と抗議(暴動?)。 わが国の、A氏とR氏は、輝いているか。 内憂外患。

相撲という文化

特に好きというわけでもないが、放送があるときは、相撲をつけている。 父が好きだったので、あの色のついた房の下がる神社のような屋根の下、土俵の上の力士たちの光景がテレビ画面に映ると、早死にした父を思い出すのだ。昔から変わらない画面であり、画面…

「シン・ゴジラ」と日本社会・その3−福島との関係

映画「シン・ゴジラ」は、東日本大震災に触れていない。 しかしこの映画に、3・11の地震による津波被害と福島原発が、大いに関わっていることを感じないわけにはいかない。むしろゴジラを使って、3・11を映画化したとさえ言える。 初期のゴジラが呑川…

「シン・ゴジラ」と日本社会・その2ーアメリカとの関係

映画「シン・ゴジラ」には、日本政府と米国との関係が強く現れる。 国家の危機であるから、日米安保を考えれば当然のことだろう。 しかしそこには伏線があるようだ。 2014年のハリウッド映画「GODZILLAゴジラ」である。見終わってイヤな感じが残った。最後に…

「シン・ゴジラ」と日本社会・その1ー崩壊のリアリティ

映画「シン・ゴジラ」を観た。 とても面白かった。 ゴジラを中心とするこれまでの怪獣映画、ハリウッド製の地球危機映画などとはまったく異なるリアリティがある。 これまでは激烈な都市破壊の恐怖感と、危機を救う主人公の英雄的行為に焦点が当てられていた…

熊野の霊力

夏の盛りに、熊野古道を歩いた。 まことに山深い土地だ。巨木の森の中、土と石と苔の匂いに霊力を感じる。 三つの大社に参詣した。もとは修験の地であったが、やがて神仏習合となった。 それにしても平安末期、都の貴族たちの熊野詣は頻繁であった。後白河法…

「法律+習慣+人情」=日本

天皇の生前退位は、現行法体系に大きく関わることかもしれない。しかし国民は好意的に受け止めている。 一方、安倍首相周辺は総裁任期を延ばそうとしている。こちらは自民党の問題だが、日本の将来に大きな影響があるかもしれない。しかしそれほどの政治問題…

遠い他者

人は他者を求める。 絶対の孤独では生きられない。 人は他者を求める。 生活のためというより、コミュニケーションの相手として。 しかし近い他者には不満ができる。「ウザイ」というやつだ。 そこで人は「遠い他者」を求める。 芸術家は、近い他者より遠い…

大衆世論の特質ー大衆発信社会・その4

これまでの「世論」は、知識人・ジャーナリストがリードした。それが近代社会というもので、啓蒙、開明、進歩、発展という、より良き未来への動力であった。 しかしネット社会における「大衆世論」には、そういった方向性がない。 アメーバー(原生生物)の…

昭和一桁のあとのテレビ

大橋巨泉、永六輔がみまかった。 昭和一桁生まれ、野坂昭如に言わせれば「戦後焼跡闇市派」だ。 戦時中は皇国少年であり、戦後は一転してその価値観を否定されたことから、無頼な創造者となった。戦後テレビ文化を創り上げたのは彼らであり、僕たちの世代は…

万葉という大衆発信

日本文学の原点ともいうべき『万葉集』は、天皇や貴族に加えて、防人、東人、農民などの歌を大量に取り込んだ、世界でも珍しい歌集である。しかも、藤原氏を中心に推し進められた、漢字と仏教の外来文明による律令体制への反対感情さえ読みとれる。 僕はこの…

AI(人工知能)は間違える

僕は囲碁が好きで、コンピューター相手に打つことも多い。 長いあいだ、将棋やチェスと比べて囲碁のソフトはお話にならないぐらい弱かった。そこにモンテカルロ法という乱数発生のシミュレーションを使うプログラムが登場して、格段に強くなった。そして今年…

AI(人工知能)審判を望む

特に昨晩の試合を言うのではないが、サッカーの勝敗は審判に左右される。 柔道もそうだ。そういうスポーツは少なくない。 僕はAIの審判を望む。 ボールやユニフォームにチップを入れ、テレビを多用すれば可能だろう。膨大なデータを記憶させ、ディープラーニ…

知識階級の崩壊ー大衆発信社会その3

このところ、社会のオピニオン・リーダーとなる知識人やジャーナリストにお目にかからないような気がする。 情報化社会と言われてからの傾向だ。 本来「情報」とは、慈雨のように「知識」を育てるものだが、集中豪雨のような情報の氾濫は、知識という草木を…

ポケモンゴーよりポケベンゴー

ポケモンゴーというスマホのゲームが大変な人気で、交通事故の死者が出るほどだ。 そばにやっている人がいるので覗いてみるが、あまり面白いとも思えない。 しかし画期的なのは、ゲームの世界とリアルの世界とを融合させたことである。これまでのゲームは、…

大衆とは何かー大衆発信社会・その2

「市民」という言葉は、都市民から来ており、教育され文明化されたという意味を帯びている。ヨーロッパでは、市民革命のあと、貴族に代わって権力を握った都市商工業者すなわちブルジョアジーの意味でもある。日本では政治家によってご都合的に使われ、リベ…

女優の息子

女優の息子が事件を起こした。 この光景にはデジャブ(既視感)がある。女優A、女優Mと思い浮かぶ。 なぜそういうことになるのだろう。その考察はあとまわしにして、次のように思った。 僕は生母が早く死んで、継母に育てられた。何人か母代わりの人もいた。…

大衆発信社会

ブログを始めて、他のブログも見るようになった。 これまで親しんだ活字の文章とはまったく異なる、新しい文章世界が広がっている。面白いものもあり、つまらないものもあり、ためになるものもあり、ならないものもあり、品のあるものもあり、ないものもあり…

空調に関するテレビ番組

今朝の人気テレビ番組で、空調機をつけっぱなしにするのと、こまめにオンオフするのとどちらがエコか、という特集があった。 僕の専門にも近いので、興味をもって視聴したのだが、その中で、空調機を立ち上げたとき初期の温度が高いために消費電力が多くなり…

小池知事と着物の圧倒

五輪の旗を受け取る式典に、小池知事は着物で現れた。 洋服姿が似合う人なので、僕には意外性があった。雨に濡れて、案外地味、高価そう、といった意見が多いが、さすがに目立つ。 こういったハレの場における日本女性の着物姿には、抜群の存在感がある。ど…

負けてこそ名誉

柔道は金メダルが至上命令という。銀や銅のメダルでは悔しいという。 しかし僕は、日本発のスポーツが、これだけ世界的になったことを評価すべきだと思う。他にはないのだ。そう考えれば、他国にメダルをさらわれることを日本人は喜んでいい。個人として負け…

安倍晋三よりマリオだ

よく知られたゲームキャラクターのマリオが、東京の街中から地球の中心に向かって突き進み、その反対側のリオに到達するというCGは、閉会式会場の注目を集めた。 地表に現れたのは、なんと、マリオの着ぐるみを脱いだ安倍首相であった。本物である。日本人は…

生前退位と伊勢神宮

陛下の生前退位の御言葉に、伊勢の遷宮を想った。 二十年ごとの式年遷宮の制度が定められたのは天武帝の代で、持統帝の代が一回目である。その目的を「技術の伝承」と説明する人が多いが、今のように技術が大変化する時代ではない。昔の人はそうは考えなかっ…

吉田沙保里と「一つの家」

http://www.robundo.com/robundo/blog/?p=11268 オリンピック、応援したくなるのは女子の卓球。可愛いのもある。しかし強すぎないのがいいのかもしれない。銅メダルがやっとくらいが応援しがいがある。 負けて偉大さを再認識、吉田沙保里。名古屋のテレビで…

都市力・風土力とは

「都市力と風土力」というのは、このところ考え続けているテーマである。 次のような趣旨。 北極圏のイヌイット(エスキモー)は氷の家に住む。 赤道に近い熱帯雨林の人々は草を編んだ家に住む。 中央アジアの草原の民はテントの家に住む。 ヨーロッパでは煉…

言葉の建築

僕は建築家だ。一般にそう思われている。 しかし文章も書いてきた。建築作品と同じくらい著書がある。内容は主として「建築からの文化論」。 本当の建築には、施主の要望、コストの制限、技術的法的制約など、困難な条件がある。著書の出版にも、それなりの…