特に好きというわけでもないが、放送があるときは、相撲をつけている。
父が好きだったので、あの色のついた房の下がる神社のような屋根の下、土俵の上の力士たちの光景がテレビ画面に映ると、早死にした父を思い出すのだ。昔から変わらない画面であり、画面に出る白い文字の字体もまったく変わらない。
触太鼓があり、土俵入りがあり、弓取り式があり、化粧まわしはそれぞれ見事なデザインで、審行司の衣装も物々しい。一つ一つの勝負の前に、何度も仕切り直しをして派手に塩を撒く。きわめて様式化した所作である。
しかしこれは明らかにスポーツだ。
とはいえ、他のスポーツのように、運動機能の競争という目的に沿って行われるだけのものではない。元をただせば神事であるという。そして国技であるという。
とはいえ、どこの国にもどこの地方にもある、独特の様式をもつ伝統の祭りや舞台芸能というわけでもない。日本という国に連綿と続く、年中行事としてのスポーツである。しかも他の伝統文化と違って、国民的人気があり、経済的にも自立している。
このような文化としてのスポーツをもつ国は、他にないだろう。
ユニークな国だと、つくづく思う。
外国人が活躍することは悪いことではない。
僕は、国籍の問題は別にして、日本文化を深く理解する人は、日本人として考えたい。