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都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

ボブ・ディランは素直だ

ボブ・ディランノーベル文学賞と聞いて驚いた。

しかし連絡が取れず「受賞拒否か」という報道に、さすが「らしいな」と思っていた。

ところが「とても嬉しい。喜んでいる」とのコメントが出て、「なあんだ普通の人か」と思った。

しかしスケジュールが決まっているので、授賞式には出席しない、と聞いて、「ふ〜ん。あまり素直じゃないな」と思った。メディアも、受賞拒否なら記事になるが、これでは大した記事にならないと判断したようだ。

しかしよく考えてみると、彼はとても感受性が強くとても素直な人間だと思う。

まず受賞の報に、自分も驚いたのだろう。しかし世界的権威に飛びつくように喜ぶのもためらわれた。他の候補者に申し訳ないと思ったのかもしれない。とはいえ「受賞拒否」というほどの強いメッセージにも抵抗があった。もともと彼は素朴な人間で、「反戦の政治色」はジョーン・バエズや当時の状況に引っ張られた面があった。

そこで「素直な喜び」を発表する。

しかしながら授賞式に出席してスエーデンの貴族達との晩餐会やダンスに興じるのも抵抗がある。やはり彼はファンの前で素朴に歌うのが天命だ。だから授賞式には出席しないことにする。

考えてみれば、きわめて素直な反応ではないか。そしてやはりボブ・ディラン、普通の人間ではない。

普通の人には、このように素直になることが難しいのだ。