安倍首相が真珠湾を慰霊訪問するという。
この15日に日露首脳会談が予定されているから「返す刀で」という感がある。この行動力は評価したい。
吉田首相のサンフランシスコ平和条約、田中首相の日中平和友好条約、中曽根首相の国鉄民営化、小泉首相の郵政民営化といった歴史的成果には数えられないであろうが、もともと政治とは、そういった大きな成果のために行うものではない。
『老子』に「民が王の存在を意識しない時こそ最良の治世である」という言葉がある。小さな、目立たない努力の積み重ねが重要なのだ。
もちろん広島と真珠湾を同列に見ることはできないが、オバマ大統領の広島訪問には、短時間とはいえ胸のつかえが下りる思いがした。今回の慰霊がどれだけアメリカ国民に響くか不明だが、僕が在米中、広島の話題を取り上げると、彼らは必ず真珠湾を持ち出した。そういう意味では関連している。
対露でも、対米でも、もちろん他の国に対しても、相手国民の心に響く外交こそ、真の成果ではないか。 もともとアベノミクスには懐疑的であったが、その外交行動力は評価できるような気がする。