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都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

トランプ現象は三極構造

トランプ現象と、インターネットあるいはSNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)との関係は、あまり論じられていない。

ロシアがハッキングによって、クリントンのメールを流出させたという報道があるが、これは少し種類が異なる問題だ。

かつて、ケネディニクソンの両大統領候補がテレビ討論をしたとき、マーシャル・マクルーハンは「テレビというクールなメディアでは、ニクソンのような政治のプロよりも、ケネディのようなスマートなイメージが国民に受ける」という発言をして、多くの賛同をえた。

フランス革命以来、社会を変えるのは若者であり、その若者たちが新しいメディアをツールとして革新を起こす、多くの政治現象がそういう文脈で語られてきた。社会主義圏の体制崩壊も、西側のテレビ(衛星放送などマルチメディアも含め)との関係で語られ、アラブの春も、その他の社会主義の国における若者の民主化要求行動も、インターネットとの関係で語られてきた。そしてイスラム国(IS)のテロリズムまでも。

しかし今回は、そういった言説が成立しないようだ。

アメリカ、ヨーロッパにおける現在の動きは、むしろ保守的、反動的と言われる勢力の台頭であり、ネット世代の若者による革新的勢力の台頭とは言いにくいのである。

しかしインターネットが、やや唐突な印象の政治行動に大衆を駆り立てることは考えられる。「ネトウヨ」という言葉があるように、匿名の大衆が発信するインターネットには、過激な本音の感情がむき出しになる。

つまりこの現象は、革新と保守という二極構造ではなく、社会の政治意識の中央に存在した既存の知識階級(メディア的な)が魂を失って形骸化したことによって、先鋭的なネット階層と、メディアやネットに縁のない階層という両端が、同調的に台頭したという、三極構造として、読み取るべきものかもしれない。

同時に、このインターネットというツールは、政治現象への効果において、これまでのメディアの延長上にあるのではないことを認識すべきである。