都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

坊ちゃんと不良・日米首脳会談

あるテレビ番組(日曜日の朝のフジテレビ)で「安倍首相はお坊ちゃんだが、不良と付き合うのがうまい」という発言があった。

なかなか巧みな表現だ。

たしかに安倍総理は、祖父も総理大臣、父も総理候補の政治家、妻は大企業のお嬢さんという、お坊ちゃんである。

一方、トランプ、プーチン、ドゥテルテなどは、国益と信じることのためなら、そうとうのこともやる強面で、不良という言葉は(そう悪い意味ではないという前提で)かなり近いイメージだ。

われわれは「柔よく剛を制す」安倍首相に期待せざるをえないのだが、外務省の作戦は、当面、安保や貿易の問題衝突を避け、ゴルフでもして「ロンヤス関係」のような信頼関係を築くということのようだ。

しかしながら、そのツーショットが、世界のトランプ反対潮流において、日本という国の反動的、特に人種と宗教に対する偏見の印象につながるのではないかという心配もあるようだ。真っ先に会談したイギリスのメイ首相さえも、特定国の入国拒否を厳しく批判した。

日本人は、こういった人種と宗教の問題に不慣れであり鈍感である。意見の違いを棚に上げて握手することを「政治的度量」ととらえるが、世界は逆に「思想的立場」を鮮明にすることを政治家の条件ととらえる。

戦後日本の外交は、アメリカ追随と平和主義のあいだで揺れ動いてきた。「同盟」というものは、平和にとって諸刃の剣である。戦争の抑止力にもなれば、加担力にもなる。これまでのアメリカは常に国際合意の側にあろうとしたが、そこから外れるとなれば、日米同盟もかつての三国同盟のような様相を呈するのだ。とはいえ現在の時点で、アメリカとの関係が悪くなることは避けなければならないだろう。

そう考えると、この会談は、結構重要な意味をもつ。

「ゴルフで仲良し」というだけの問題ではなさそうだ。