国家の首脳同士が良好な関係というのは、双方の国民にとって、きわめていいことである。
しかしあまりにもベタベタの親密というのはどうだろう。
しかもその相手が、金ピカ趣味の、世界のメディアが批判する政治家となると。
軍事同盟は平和にとって諸刃の剣、と前に書いた。紛争の抑止にもなり、また引き金ともなる。首脳の親密も同じ諸刃の剣かもしれない。かつて、ヒトラーやスターリンと親密の情を示し、国民に大変な苦難を強いた海外の政治家も多かった。日本の政治家にあまりそのイメージがないのは、確固たる個人ではなく、集団の意を体して、個人としては曖昧な政治家像であったからだろう。
日本ではその曖昧さを「政治的度量」と受け止める、とも書いたが、今回はそれがために、逆に日本の政治家が世界の中で際立っているのだ。ともかくも、曖昧さが批判されるばかりであった時代とは異なってきた。
それにしても、テレビに映る安倍首相の外交現場の姿は、これまでの日本の政治家と比べて悪くない。卑屈にも尊大にも見えない。アメリカ両院議会における演説も、真珠湾訪問時における演説も、なかなか格調高かった。今回、ベタベタしていたのはむしろ大統領の方だ。
国民は多少の不安を抱えながらも、この姿に期待している。それが支持率に現れている。