小池百合子と石原慎太郎。「竜虎相搏つ」という感じになって来た。
政治家同士の対決と言えば、これまで吉田茂と鳩山一郎、田中角栄と福田赳夫、安倍晋太郎と竹下登など、自民党の領袖たち、いわば政治のプロどうしの対決であり、永田町の数の論理で決着がついて来た。政治は力、力は数、数は金、というやつだ。
そこへ殴り込みをかけたのが石原慎太郎だ。大変な票を集め、一気に人気政治家となった。そのあと雨後の筍のごとく、タレント議員が輩出した。彼らは既成の永田町の論理に対して、一般国民の人気の論理で戦った。善戦した者もいたが、苦戦した者もいた。そういった中で、石原と小池は、永田町の論理をある程度身につけて、それなりの実力を蓄えた。
とはいえ、今回の激突は、人気を背景にしている。「昔の人気・vs・今の人気」ということか。となれば世代の対決にもなる。国民にとって重要な、安全保障や経済政策や行財政改革やといったテーマからは離れた、かなり過去のゴシップ的な関心で、一種のポピュリズムだろうか。まさに劇場型の政治現象だ。実際に彼らは、映画やテレビの世界で生きて来たから劇場には慣れている。
もちろん今の人気は昔の人気より強い。しかし昔の人気は長期にわたり、文学や弟の存在などの背景もある。文化論的にも興味深い。