小林麻央さんが亡くなられた。
多くの日本人がその悲しみを共有した。
有名人の死は多くの共感を呼ぶ。しかし今回は、これまでのそれとはだいぶ趣が違った。病名を公開して以来、彼女の病状とその生活の様子が、インターネット上で、彼女自身とその夫のブログをつうじて、逐一報告され、その健気に生きる姿勢が幅広い感動を呼んでいたからだ。
日本人はしばらくの間「疑似家族」のような状態になっていた。
批判もあるようだが、それは大きな共感の裏返しのようなものだろう。英国BBCから「心を動かした100人の女性」に選ばれてもいる。
いずれにしろ、これまでの人間の歴史にはなかったことで、それが歌舞伎という、きわめて伝統的な文化の中の家族によって行われたことも興味深い。