8月15日も年をとると書いたが、「戦後」も年をとるような気がする。
少し年上の友人だが、彼はとても頑張って生きてきた。
食うものにも困る状況に生まれ、焼跡をうろつきながら、たくましく生き延びた。
漫画も読んだが勉強もした。
学生時代は運動部で汗を流し、熱病のような政治闘争で暴れた。
社会に出てからは猛烈に働いた。
公害問題や燃料切れと戦いながら、性能のいいものをつくった。
夜は、よく飲み歩き、カラオケで歌った。
金ができて、少し浮かれ、ゴルフ場や不動産に手を出した。
あらゆるものの暴落が起き、会社は倒産寸前に陥り、リストラが始まった。
彼は、職場を変え、さらに働き、生活を切り詰め、なんとか家族を守った。
かつての栄光が戻ることを夢見てきたが、実現することなく、高齢化した。
あてにしていた年金は、生活保護と変わらない額に減少した。
色々あったが、ともかく平和を謳歌した人生だった。
しかし最近、その平和さえも怪しくなってきた。
今、「戦後」は頭を抱えている。