都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

「戦後」も年をとる

f:id:wakashige:20170615111505j:plain

8月15日も年をとると書いたが、「戦後」も年をとるような気がする。

少し年上の友人だが、彼はとても頑張って生きてきた。

食うものにも困る状況に生まれ、焼跡をうろつきながら、たくましく生き延びた。

漫画も読んだが勉強もした。

学生時代は運動部で汗を流し、熱病のような政治闘争で暴れた。

社会に出てからは猛烈に働いた。

公害問題や燃料切れと戦いながら、性能のいいものをつくった。

夜は、よく飲み歩き、カラオケで歌った。

金ができて、少し浮かれ、ゴルフ場や不動産に手を出した。

あらゆるものの暴落が起き、会社は倒産寸前に陥り、リストラが始まった。

彼は、職場を変え、さらに働き、生活を切り詰め、なんとか家族を守った。

かつての栄光が戻ることを夢見てきたが、実現することなく、高齢化した。

あてにしていた年金は、生活保護と変わらない額に減少した。

色々あったが、ともかく平和を謳歌した人生だった。

しかし最近、その平和さえも怪しくなってきた。

今、「戦後」は頭を抱えている。