NHKで、冤罪を主に扱い、むずかしい裁判で無罪を勝ち取ってきた弁護士、今村核についての番組の再放送があった。
見応えがあった。
なぜかといえば彼に、正義感の押しつけも、自分へのヒロイズムも、まったく感じられなかったからだ。時には、番組をつくる側の意図に反してまで、そういった「作意」を拒否し、つくる側もそれを受け入れた。昨今、医者や、政治家や、教育者や、弁護士などに、魂をもった人物が減っていることを感じていたが、こんな人物もいるのだ、と重く受け止めた。
つくる側が作意を押しつけるとき、番組は生命を失う。
つくる側が対象に学ぼうとするとき、名作が生まれる。