都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

ミステリー番組・イギリスと日本

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「名探偵ポアロ」「刑事フォイル」そして今やっている「刑事モース」。

イギリスのミステリー番組は見応えがある。

ストーリーにリアリティが感じられるのは、現実にありそうだ、ということより、人間と社会を、深く掘り下げているからだろう。

時代設定がしっかりしていて、イギリスの当時の社会状況がよく描かれている。都市と建築もしっかり考証されている。特に「名探偵ポアロ」に登場する建築は、古い様式も、モダニズムも、みごとにデザインされていることにおどろく。

それに比べて、日本のミステリー番組はリアリティがない。最後はお決まりの水辺かビルの屋上で、説明的な長ゼリフと安っぽい人情の押しつけだ。登場する建築も、まったくいい加減なセットである。

そこへいくと、松本清張横溝正史は、時代が変わっても不思議に実感がある。

つくる方も力が入るのだろう。清張ものは特にテレビ朝日がいい(よかった)ようだ。

原作の力は大きい。