都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

女子減点、かつての工学部では考えられない

僕が学んでいたころの工業大学では、女子学生はいないのが当たり前。稀にいても学年に一人か二人、500分の1ぐらいの確率だったから、教室の建物には女子トイレがない。彼女たちは女子事務員のいる本館まで、そうとうの距離を歩かなければならなかった。今だったらたちまちクレームがつくだろうが、そのころは彼女たちも大学側も仕方ないと思っていたようだ。

僕が教えていたころの工業大学では、女子学生がどんどん増えていった。それでも少ないので、入試のとき、合否の線引きをする(順序を入れ替えることはないが、合格者が他大学の医学部などへ流れる可能性を考えて、定員より多少多めに取る)のだが、ギリギリの線上に女子学生がいるとそこまでは取るというのが暗黙の了解であった。工学部では女子学生が貴重だったのだ。

しかし今では、工学部にも女子が増え、2、3割はいるだろうか。しかも成績は上位だから、医学部に近づいてきたともいえる。しかし初めから減点するというのはあり得ない。大学入試の公平性は、戦後日本を支えてきた原則である。

f:id:wakashige:20161126164130p:plain

考えられない