お盆の話題であるが、最近はインターネットで墓参りをしたり、スマホの画面に墓が写し出される、ネット墓地やスマ墓といったものが人気だそうだ。
しっくりこないのではという気もするが、実在しないということがむしろいいのかもしれない。
「墓」というものは、死者のメモリー(記録、記憶)が現実の空間として永続するという機能である。しかしこの現実空間の永続が何によって担保されるかというと案外難しい。歴史においては国家権力も転変する。むしろ宗教の方が持続性があるのかもしれないが、これも時代によって変化する。それならいっそバーチャルの方が気楽だし、これからはネットの中の方がリアルの空間より持続性があるかもしれない。
もともと石を建てて「家の墓」とするのは中国的で日本的ではないという考え方もある。本居宣長は、自分の墓には山桜を一本植えただけにせよ、と言い残した。
諸行無常ということか。