都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

生命回帰の建築ー伊東豊雄

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青山通りから、明治神宮に向かって、表参道を歩く。

欅並木の葉を揺らす夏の風が心地よく、歩道が広いので自動車の騒音や排気ガスを感じさせない。

浅草の仲見世が下町の参道なら、こちらは山の手の参道。東京が誇る新旧二つの参道として対照的だ。仲見世が、江戸時代の長屋のように一つの建築に土産物屋が並び入っているのに対して、表参道は、世界のファッション・ブランドがそれぞれ個性のある現代建築家に設計を依頼した店舗が建ち並んでいる。

丹下健三黒川紀章安藤忠雄伊東豊雄妹島和世隈研吾、その他外国人も含めて、世界的な建築家の作品が目白押し。こんな通りは世界にも稀である。ショッピング・ストリートとして、シャンゼリゼー(パリ)や五番街(ニューヨーク)に匹敵するのは長いあいだ銀座であったが、今では表参道というべきだろう。知名度ではまだ一歩譲るものの、建築と並木と心地よさに関しては、すでに表参道が、シャンゼリゼーも五番街も凌駕している。

「THE・PAGE」の連載、今回は伊東豊雄さんのトッズを取り上げました。

https://thepage.jp/detail/20170710-00000006-wordleaf

藤井聡太の格闘技

https://thepage.jp/detail/20170703-00000005-wordleaf

天才少年が、「ひふみん」というタレントを生んだところが面白い。

これを機会に、格闘技としての将棋の文化論を書きました。チェスや囲碁についても書いてます。

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安倍政権の代理戦争・その2

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都議選である。

豊洲が争点かと思われたが、森友加計問題、閣僚、議員の不祥事など、安倍政権の審判のようになってきた。

さながら代理戦争。今までの地方議会の選挙からは考えられないようなヒートアップだ。

マスコミが、親安倍派、反安倍派と二分されているのも珍しいこと。日頃は中間派と思われていた、比較的穏当な意見の人まで旗幟鮮明になっている。その点でも代理戦争。

日本社会がこれだけ政治的に分かれているのは、60年安保以来ではないか。

その点で、安倍総理は祖父の道を行っている。

 

安倍政権の振り子

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「THE・PAGE」に「安倍政権のやまとごころ」という記事を書いた。

一種の政治文化論である。

書いているときは、かなり批判色が濃いと感じていた。しかし金曜日の夕方にアップされ、次の土、日のテレビ番組は、政権批判一色だった。月曜日の段階では、記事の批判は生ぬるく感じられた。

政局の変化は速い。

支持率が高かっただけに下がるのも劇的だ。

政治的方向はまったく異なるが、田中角栄の人気が一挙に下がったことを思い起こした。

国論の振り子は大きく振れる。

 

SMAPの文化論

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SMAPの活動から、日本文化の30年を考察しました。

https://thepage.jp/detail/20170622-00000017-wordleaf

 

前提となる理論は下記

「少し前、映画監督の篠田正浩氏との共著で『アイドルはどこから』という本を出した。ジャニーズ事務所や、AKBや、全国各地のゆるキャラや、マンガ、アニメ、ゲームなどのキャラクターといった、現代アイドルから日本文化の淵源に遡ろうとするもので、結果、われわれは仏教天皇に突き当たった。

日本のお寺は、どこへ行っても「御本尊」という仏像を拝まされる。

そもそも仏寺における本堂とか金堂とかいうものは仏像の囲いであって、人間を容れる建築ではない。それがキリスト教の聖堂やイスラム教のモスクとの違いである。またインドや東南アジアは、彫刻を施した建築(塔)そのものを拝む傾向にあり、仏像はあっても御本尊という感覚ではない。

日本仏教は一大偶像崇拝教なのだ。その偶像の制作に魂を入れることが、現代のものづくりもつながっている。

また歴代天皇も、藤原時代にはまだ年若い子供が擁立され、摂政、関白、上皇などが実権を握った。そして世界でも例を見ない長期にわたって、日本国の政治と文化の象徴偶像でありつづけた。

イスラム教は厳しく偶像崇拝を禁じているし、ユダヤ教も、キリスト教も、基本的には偶像崇拝を禁じている。大陸の文化は、偶像を廃し、理と知によって教義を拡大するという、一種の精神革命プロセスを経験しているのだ。

しかしこの島国の文化においては、昔も今も「アイドル=偶像」が共同幻想における象徴的な具体像として強い力を維持してきた。最近の世界的ベストセラー『サピエンス全史』でも、人間の社会にはたらく「想像秩序」の力が強調されている」

 

小林麻央・人類史上初めての悲しみ

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小林麻央さんが亡くなられた。

多くの日本人がその悲しみを共有した。

有名人の死は多くの共感を呼ぶ。しかし今回は、これまでのそれとはだいぶ趣が違った。病名を公開して以来、彼女の病状とその生活の様子が、インターネット上で、彼女自身とその夫のブログをつうじて、逐一報告され、その健気に生きる姿勢が幅広い感動を呼んでいたからだ。

日本人はしばらくの間「疑似家族」のような状態になっていた。

批判もあるようだが、それは大きな共感の裏返しのようなものだろう。英国BBCから「心を動かした100人の女性」に選ばれてもいる。

いずれにしろ、これまでの人間の歴史にはなかったことで、それが歌舞伎という、きわめて伝統的な文化の中の家族によって行われたことも興味深い。

 

SMAPの時代

美空ひばりにはひばりの時代があった。

焼跡から立ち上がろうとしていた。

慎太郎と裕次郎には、石原兄弟の時代があった。

何かに挑戦しようとしていた。

フォーク・グループにはフォークの時代があった。

成長の矛盾を叫ぼうとしていた。

SMAPにはSMAPの時代があったのだろう。

夢を取り戻そうとしていたのかもしれない。