都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

教師に銃を持たせる社会

f:id:wakashige:20180224104457j:plainまたしてもアメリカで銃乱射事件が起きた。

高等学校であったところから、トランプ大統領は、銃の所有に対する規制を強化するとともに、教師に銃を持たせることを進めるという。背後には全米ライフル協会の選挙影響力があるという。

「どんな場合でも体罰は悪」という現代日本社会では考えられないような話である。

教師とは本来、暴力否定を教えるべき立場であり、いかなる理由があるにせよ、警察以外の人間が他の人間に直接的な力を行使することを否定するのが基本である。西武開拓時代の映画でも、保安官や、騎兵隊や、流れ者や、カウボーイはともかく、教師が銃を持つことはまずなかった。

われわれは、アメリカという社会、国家、文明をそういう性格のものとして受け止める必要がある。すべての暴力を排除する戦後日本とは対照的なのだ。そして世界の多くの国は、むしろ日本よりアメリカに近いのではないかということも考える必要がある。もちろんこのことは戦争に結びついている。

暴力は否定すべきである。しかしどう対処するかは考える必要がある。

とりあえず、銃規制は必要だ。その上で、社会の深いところにある原因とその暴発を排除する対策を練るべきだろう。

 

羽生結弦と宇野昌磨にアウェイはない

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羽生結弦宇野昌磨が金と銀。オリンピックの緊張の中で、たいしたものだ。

それにしても、この二人が氷上に姿を現わすと、圧倒的な女性の歓声が上がる。コアなファンが日本から大勢行っているのだろう。

それまで平昌では日本の応援はあまり目立たなかった。ノルディックでは北欧勢、スピードスケートではオランダ勢がメジャー、韓国が相手のときは、完全アウェイ状態である。

そういった中で、羽生と宇野に対する声援はホームと変わらないので、日本の女性ファンが頼もしく感じた。

おそらくどこの国でもそうなのだろう。羽生と宇野には大勢の女性ファンがいて、世界のどこへでも出かけていくのだ。

その意味で、羽生結弦宇野昌磨にアウェイはない。

あらためてこの二人、特に羽生の魅力と、それを支援する女性ファンの力の強さを感じる。

ジャニーズやAKBといった、現代日本のアイドル文化と無縁ではないだろう。

平昌オリンピックに見るヨーロッパ的伝統とアメリカ的創造

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ノイシュバンシュタイン城


前に「THE・PAGE」に、スポーツには二種類あると書いた。

単純な個人的能力を競う、陸上や水泳のような競技と、複雑なルールをもつ、サッカー、ラグビー、野球、バスケットボールといった球技であり、前者は昔からどこにでもあり、後者は近代になって「英米帝国」が広げた、つまり帝国主義の産物だと書いた。

平昌で演じられている冬季オリンピック競技でも、似たようなことがいえそうだ。

アルペン競技は圧倒的にヨーロッパアルプスに接する国々が強く、距離やジャンプなどノルディック競技は北欧である。スケートは平地の多い北国、つまり氷の多い、ロシア、カナダ、オランダなど、これは風土であり、伝統である。

しかしスキーのモーグルスノーボードなどは、僕らが若いときにはなかった新しい種目であり、アメリカ、カナダ、日本が強い。

この三国に共通するのは、ヨーロッパ以外の、雪のある先進国ということで、特にアメリカ文化に染まっている国だ。ジャズやポップスやジーパンやコカコーラやハンバーガーと関係が深そうな種目である。

日本は伝統的な種目にもヨーロッパに次いで強いので、そういう意味でも、伝統と創造の間にある国といえそうだ。

 

 

 

女子はサムライ・男子はナデシコ

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東京オリンピック64室内競技場。丹下健三設計


平昌オリンピックを見ていると、雪上系と氷上系に分かれるのはもちろんだが、スピードスケートやアイスホッケーなど「速度と力」を競う競技と、フィギュアスケートやスノボなど、審査員の採点によって、すなわち「美技」を見せる競技に分かれることも感じる。

そして日本は、どちらかといえば女子が「速度と力」男子が「美技」に強い。

そのことが今のわが国の社会事情を反映しているような気がする。

これから、女子はサムライ、男子はナデシコとネーミングするべきだ。

 

本当は「金」の高梨沙羅

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ストックホルムの街


高梨沙羅選手が銅メダルを取ったことを讃えたい。

しかし本当は金メダルだったと思う。

あるテレビ番組で、ルンビやアルトハウスが使っているスキーと高梨が使っているスキーを比べていたが、その長さの違いに愕然とした。

ジャンプで日本選手が活躍することから、スキーの長さを身長と体重で制限するという奇妙なルールを設たのだ。

これはおかしなルールである。

アルペン種目でそんなルールがあったら誰でもおかしいと思うだろう。スケート靴のブレードの長さを身長と体重によって変えるなんてことはないし、テニスのラケットにも、フェンシングの剣の長さにもそんなことはない。

世界的に見て北欧人は背が高く日本人は背が低いのは仕方ないことである。ただでさえ不利なのを克服して頑張っているのが日本の選手たちだ。北欧の人たちはそこまでして勝ちたいのだろうか。僕は建築やデザインの面で北欧好きだが、この点は納得できない。

そういったハンデの中でここまで勝ち続けた高梨選手は、国民栄誉賞に値する。

平昌オリンピックと国際政治

南北合同の入場とアイスホッケーチームで融和を印象づけ、さらに金与正氏の登場でインパクトの加わった開会式であった。

オリンピックを機会に、現在のスポーツが抱える問題を、歴史的文化的に論じた。

 

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今後の進行に政治とは無縁の公平性が保たれることを願うばかりだ。

朝香宮邸はモダンの桂離宮

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朝香宮邸はみごとな建築だが、時代は軍国主義に向かい、戦後、宮家は凋落し、機能主義モダニズムに向かう時代に、装飾的な建築は評価されなかった。