都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

時間を超えるアニメとネット社会

細田守監督の「未来のミライ」というアニメ映画が上映されている。 まだ観ていないが、幼い少年と未来からやってきた成人の妹との物語だそうだ。 「時を駆ける少女」以来、前作「バケモノの子」も、時間を超えるモチーフがこの監督作品の特徴だ。 また少し前…

カメラを止めるな・「劇中劇」と「劇外劇」

「カメラを止めるな」という話題の映画を観た。 わずかな経費と短期間で作成したマニア向けの映画が大ヒットして大変な興行収益になっている。 映画に一家言ある人にはたしかにオススメだ。しかし子供づれや気の弱い人にはどうだろうか。 あまり話すと「ネタ…

リアルの世界の危機ともう一つの「世界」

大航海時代にヨーロッパ人が「世界」を発見するまで、われわれの「世界」は、国によってずいぶんと異なるものであった。 16世紀以後、ヨーロッパの「世界観」が世界中に広がってきたのだが、地球の限界も見えてきて、人類は何となく閉塞感の中にいる。 し…

尾畠さんとは逆の人々

こういう報道のあとに尾畠さんが登場したので、劇的だった。 thepage.jp

制帽(文明)とハチマキ(文化)・「電子情報化されていない人類」尾畠春夫さん

夏の一涼 幼児を発見した尾畠春夫さんを捜索隊と比較して「文化が文明を凌駕した」と大げさなことを書いたが、そこには伏線がある。 制帽とハチマキだ。 日本近代建築の父ともいうべきジョサイア・コンドルが来日した明治10年、日本には西南戦争という大事件…

幼児発見者(尾畠春夫さん)の野生と文化

あっちだ 帰省先の祖父母の家のすぐそばで行方不明になった藤本理稀くん(2)を発見したボランティアの尾畠春夫さん(78)は、真っ赤なハチマキに独特の道具を背負った異様な姿だった。 しかし多勢の捜索隊が発見できなかった幼児を、森の中の沢でたちまち発…

建築からの戦争論・その3

thepage.jp戦争論 建築からの戦争論・三部作の最後です。若山

第二次世界大戦は都市化への怨念が原因

建築から戦争を考える・その2。 thepage.jp

建築からの戦争論

建築からの戦争論を発表した。今日から三日間お盆の特集連載。若山 https://thepage.jp/detail/20180812-00000004-wordleaf 建築から戦争を考える(上)戦争とは文化現象ではないのか | THE PAGE(ザ・ページ) 今年も8月15日終戦の日が近づいてきました。戦…

能力の格差から努力の格差へ

スポーツで活躍している若者を見ると頼もしくなる。 スマホでゲームに夢中になっている若者を見ると情けなくなる。 わりと頼もしい方の学生たちと話していて気がついた。 若者たちも、ゲームにハマらないように努力しているのだ。そして今の若者たちは、努力…

キャラクターとその罪・忖度と諫言

ボクシング連盟の山根明氏を「唖然とする人物像」と書いた。「小悪ボス」とも書いた。 しかしテレビを見ていると、アメフトの内田監督や、レスリングの栄監督とは、少し違うかもしれない。 久しぶりに登場した「ヤーさんふうのキャラクター」で、『仁義なき…

ネット墓地とスマ墓

お盆の話題であるが、最近はインターネットで墓参りをしたり、スマホの画面に墓が写し出される、ネット墓地やスマ墓といったものが人気だそうだ。 しっくりこないのではという気もするが、実在しないということがむしろいいのかもしれない。 「墓」というも…

お盆と終戦・御巣鷹山と「はるな」

8月は、戦争を想う、鎮魂の季節だ。 それにしても終戦記念日の8月15日が、死者の魂を迎える「お盆」という、古くからの日本文化(仏教からくる)と重なるのは不思議な一致だとかねがね思っていた。この時期には、意識として確かに、戦争犠牲者の霊が帰ってく…

厳正と抜擢=公平倫理、その崩壊=存亡の危機

考える人は孤独だ 東京医大の入試で、女子学生が一律に減点されていたというのは驚きであった。 そしてテレビによく出る女医が「医療の現実から見れば当たり前」と発言したようだ。女医が増え過ぎて男性の医者が減るのは医療の現場に好ましくないという、現…

「実力ボス」から「小悪ボス」へ

ボクシング協会やレスリング連盟やアメフト部といったアマチュアスポーツ界に、かなり悪質なボスがはびこっていたことが明るみに出た。 いずれも激しい身体コンタクトのある競技で、強い精神力が必要とされ、上下関係に厳しく、個人の権利より規律に対する忠…

唖然とする公的組織のボス

唖然とするニュースというのが、時々ある。 ボクシング連盟の会長だ。何か驚くべきことをしたというより、その人間像だ。 アメフトの監督の違反タックル指示もそれに近い。 レスリングの監督のパワハラは少し近い。アマチュアスポーツは本来、クリーンさが信…

女子減点、かつての工学部では考えられない

僕が学んでいたころの工業大学では、女子学生はいないのが当たり前。稀にいても学年に一人か二人、500分の1ぐらいの確率だったから、教室の建物には女子トイレがない。彼女たちは女子事務員のいる本館まで、そうとうの距離を歩かなければならなかった。今だ…

リガのユーゲント・シュティール 映画監督エイゼンシュテイン の父親は建築家

バルト三国は、言葉も風土も文化も異なるところが面白い。 端的にいえばエストニアはフィンランドに近く、リトアニアはポーランドに近い。 一番ロシアの影響が残るのがラトビアで、首都リガはソビエト時代モスクワに次ぐ大都市であった。 世界遺産の中央市場…

巨額の買い物

イージス・アショアが6000億円だという。 長く建築をやってきたので、巨額のコストにはそれなりの感覚があるのだが、一般の人にはピンとこない数字だろう。これはべらぼうな額である。 そりゃないでしょ、トランプさん、安倍さん、防衛省さん! 自衛官も…