都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

トランプの振子と都市化の波

先に、トランプ現象はどこまで遡る振幅の振子と見るべきか、と書いた。 一つ目は、ベルリンの壁崩壊以後のグローバリズム。 二つ目は、第二次大戦後の国際主義。 三つ目は、17、8世紀ヨーロッパの啓蒙主義。 それが「都市化の波」に対応すると書いた。 人…

小池石原劇場

小池百合子と石原慎太郎。「竜虎相搏つ」という感じになって来た。 政治家同士の対決と言えば、これまで吉田茂と鳩山一郎、田中角栄と福田赳夫、安倍晋太郎と竹下登など、自民党の領袖たち、いわば政治のプロどうしの対決であり、永田町の数の論理で決着がつ…

東芝・日本技術帝国の崩壊

数寄屋橋のソニービルが解体され、しばらくは公園になるという。 向かいには昨年オープンした東急プラザ。阪急が入っていたが、もとは東芝の松田ビルであった。 東芝は明治初期以来の、重電を中心とする大企業であり、ソニーは戦後急成長した、主としてオー…

もう一つの事実のもう一つの事実

「事実は一つであってほしい」と、テレビのコメンテイターが強く言った。 そのとおりだ。僕も「もう一つの事実」という言葉の流行に嫌な印象を受ける。 アメリカで、トランプ大統領の報道官が、就任式に人が少なかったのを史上最大の人数として「alternative…

首脳の親密(晋三・ドナルド)=諸刃の剣

国家の首脳同士が良好な関係というのは、双方の国民にとって、きわめていいことである。 しかしあまりにもベタベタの親密というのはどうだろう。 しかもその相手が、金ピカ趣味の、世界のメディアが批判する政治家となると。 軍事同盟は平和にとって諸刃の剣…

最期の出会い

ある総合病院でソファに座って診断をまっているとき、車椅子に乗った相当に高齢のご婦人と目があった。向こうがニコッとしたので、こちらもニコッとした。息子さんらしい人が車椅子を押していたが、その人もすでに高齢者と言っていい。 しばらくしてその人の…

「家」と「やど」

東京の設計事務所から名古屋の大学に赴任して、何か新しいタイプの研究をやろうと、「文学の中の建築」というテーマに取り組み、大上段に『万葉集』から取りかかったことは前にも書いた。 万葉4500首あまりに、もっとも多く登場する建築用語は「家」であり、…

トランプの振子

トランプ現象と政治的性格について論じてきた。 端的に言えば、人間の政治的性格を「A面=普遍性=都市力」と「B面=固有性=風土力」に分け、トランプ現象(トランプ個人の評価とは切り離して)をB面と位置づけた。 世界の政治力学がB面に振れているが、さ…

人生と地球

時にはパタパタと 時にはスイスイと 人生は過ぎていく ふと立ち止まって 風に問う 何か意味があるのだろうか、と 人生の意味? そんなものはない ただ、人類とやらのせいで、最近少し地球の空気が悪くなってきた だが、それも 宇宙の営みの中では、地球の存…

スーパーボールと大相撲

ペイトリオッツとファルコンズ、驚くべき試合だった。 トム・ブレディのプレーもさることながら、エデルマンのキャッチは歴史に残るだろう。大逆転だったから「どんなに不可能と思われても諦めてはいけない」とも思わされた 特別にアメフトのファンとうわけ…

米軍経費負担

相当の額だとは思っていたが、85パーセントまでとは思わなかった。 これがモデルというのなら、他の国はたまったものではない。 政府はこれまでつまびらかにしなかったのではないか。そして野党もマスコミもまったく批判しない。これまで許していたことが…

マティス国防長官の頼もしさ

獰猛いや勇猛で知られる海兵隊出身。湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争と、激戦地を戦い抜き、失った部下の家族をすべて訪問し、圧倒的な信頼と人望がある。膨大な戦史と哲学の本を読み、深い知識がある。日本にも勤務し、同盟国である日本の国旗が紛失し…

坊ちゃんと不良・日米首脳会談

あるテレビ番組(日曜日の朝のフジテレビ)で「安倍首相はお坊ちゃんだが、不良と付き合うのがうまい」という発言があった。 なかなか巧みな表現だ。 たしかに安倍総理は、祖父も総理大臣、父も総理候補の政治家、妻は大企業のお嬢さんという、お坊ちゃんで…

野生社会と管理社会

小池百合子ブームの前は田中角栄ブームであった。 これとトランプ現象との関連はあるだろうか。もちろん彼が大統領になる前だが、先進社会が豪腕のリーダーを求める傾向とは関連があるだろう。 トランプ、プーチン、サルコジ、ベルルスコーニといった面々は…

ラスコーの空間秩序

ラスコーの洞窟壁画の展示を見に行った。 細長い洞窟の中に、馬、鹿、牛など、身近な動物たちがダイナミックなパノラマとなって展開される。もちろん写真のような写実性ではなく、ある特徴を誇張する筆法だが、生き生きとした動きをとらえる描写力に感心せざ…