都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

立場の重圧

責任ある立場というものは、やりがいもあるが、重圧もある。 いつでも辞められるなら気が楽だ。企業経営者や政治家には、大まかな任期というものがある。 絶対に辞められないとなると、これは苦痛だ。天皇退位には反対の識者が多いという。 辞めると命の危険…

空を切る

真理、真実を書こうと、もがいていたのだが、それは言葉にできないものなのかもしれない。 星の王子様は「本当に大切なものは目に見えない」と言った。同じことだろう。本当に大切なことは、言葉では表現できないのだ。 本質を切ろうとすればするほど空を切…

カストロ・20世紀の英雄

フィデロ・カストロが死んだ。 アメリカとの国交正常化の後であった。 生き延びた英雄であり、生き延びた20世紀人でもある。 キューバ人は哀しみ、アメリカの亡命キューバ人は喜んだ。 一般に、革命のヒーローは政権の座に着くと、それまでの盟友を裏切り…

町内会長型と創業者型

プーチンは、選挙を経ているにせよ、強大な権限をもつ無期限の大統領という印象だ。 ソビエトが崩壊し、民主主義のロシアが誕生してから、独裁者が誕生したのである。 一般的には、選挙によってリーダーを選ぶ民主主義は、独裁者の出現を封じる機能をもつは…

小説

小説というものは、読み手によって、またその時期によって、ずいぶんと「意味」が変わるような気がする。だから、評判のものを読んであまり感動しなくても恥じることはないし、逆に感動したものが評判にならなくても寂しく思うこともない。すぐれて個人的な…

ボブ・ディランは素直だ

ボブ・ディランにノーベル文学賞と聞いて驚いた。 しかし連絡が取れず「受賞拒否か」という報道に、さすが「らしいな」と思っていた。 ところが「とても嬉しい。喜んでいる」とのコメントが出て、「なあんだ普通の人か」と思った。 しかしスケジュールが決ま…

拓郎と直太朗

ノーベル賞はもらえないだろうが、吉田拓郎はいい。 あの時代特有の、主張と、迷いと、諦念がある。 妙にプロテストする歌も、甘い恋愛歌も、甲高い声の気取った歌も、好みに合わない。 拓郎には独特の風物詩がある。そう言えば季節を感じさせる歌が多い。強…

ドナルド勝利は知識人の敗北か

米大統領選にドナルド氏が勝利して、あるテレビのコメンテイターから「自分も含めて知識人の敗北である」という発言が聞かれた。 たしかにこれまで、トランプ氏は、無知と言われ、ホラ吹きと言われ、大衆迎合と言われ、その支持者は、白人の労働者、貧困層、…

TPPと国内紛争国際紛争

「TPPをまとめようとしたとき、アメリカの言いなりになるなと野党に批判された。今度は、アメリカの大統領候補が両方とも反対しているのになぜ日本がと批判される」官房長官は言う。 だからこそ日本がリーダーシップを取るべきだと続けた。 このことは、一国…

マナーが変化

レストランに入って隣の席が近いと、話し声が耳に着く。夢中になって大声で喋る迷惑な人たちもいる。 一方、仕事の打合せなどでコーヒー店にはいっても、周りがシーンとして話ができる雰囲気ではない。図書館に入ったのかと勘違いする。 かつて、喫茶店でよ…

文明は発達、文化は。

韓国の大統領スキャンダルに関する報道は、怒号と罵声、なかなかに激しい。 歴代大統領が就任中または辞任後に親族の汚職などで訴追されているので、「やっぱりこの人もか」という感を拭えない。 一方、中国の総書記は「核心」という言葉で独裁体制を固めて…

風土力の歌集

設計事務所から大学に転じて、何か新しい分野を開拓しようと「文学の中に記述された建築」という研究に取り組んだ。当時流行していた心理実験やアンケートによって建築の意味を探ろうとする研究に疑問をもったからだ。建築の意味は、そういった手法で浮かび…