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都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

演歌の風土力

よく巷で歌われる「演歌」というものの歌詞を分析したことがある。

そこに登場する地域と都市には、はっきりした偏りがあるのだ。「北」をタイトルとする歌は多く、「南」の歌はほとんど見当たらない。「北へ行く」あるいは「北から来る」という設定で、その望郷と郷愁、都会に対する「憧憬と幻滅と怨念と自棄」が主題である。戦前なら軍隊に入る、戦後なら集団就職というかたちで、東北地方あるいは北海道から東京へやってきた人の心情に沿う内容は特に多い。

当然、東京の歌も圧倒的に多いのだが、その他の都市としては、大阪、札幌、小樽、長崎、博多、金沢など、東京(中央)に対峙する風土的、文化的情緒を有する都市に限られている。静岡、名古屋、広島などの歌はなどほとんどない。

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演歌というものには、昭和という時代の、東京という都市の、近代メトロポリスとしての拡大に対する、都市化の反力が表出するのだ。

万葉集』以来、日本の歌には、精神の風土力が凝固している。