都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

マティス国防長官の頼もしさ

獰猛いや勇猛で知られる海兵隊出身。湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争と、激戦地を戦い抜き、失った部下の家族をすべて訪問し、圧倒的な信頼と人望がある。膨大な戦史と哲学の本を読み、深い知識がある。日本にも勤務し、同盟国である日本の国旗が紛失したのを、徹底的に探させて、数日後に見つかったという。

マティス国防長官は、軍人らしいハッキリした発言で、尖閣は安保の範囲であり、同盟国への攻撃を許さない、と言い切った。

日本人は頼もしさを感じたのではないだろうか。

考えてみれば、今の日本社会には、こういった人物像が見当たらない。はるかに遡って、東郷平八郎山本権兵衛大山巌児玉源太郎山本五十六、といった名前が浮かぶ。つまり戦前は頼もしき軍人がいた社会であり、戦後はいなくなった社会である。

所属集団の任務に忠実で、強靭な精神と肉体と知識と知恵を有し、やるべきこととやるべきでないことを峻別し、やるべきことは断固としてやる。今の日本では、軍人に限らず、そういう人物像が理想とされていないような気がする。

誤解してもらいたくない。軍人を賞賛しているのではない。

これまで書いてきたように、その社会がもつ「政治的性格」について言いたいのだ。