都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

「刑事モース」の終わり方

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先回、「今やっている『刑事モース』」と書いたが、筆者はドラマをビデオにとって見る習慣があり、このドラマは少し前に最終回を迎えていた。これは謝らなければならない。

問題はその終わり方である。

主人公とその上司は、稀に見る正義感をもつ腕のいい刑事だが、最終回で、上司は悪党に撃たれて(死んだように見える)、主人公は嵌められて収監される場面で終わる。

勧善懲悪とはまったくの逆で、作者の心には、根深い社会(体制・権力)批判とニヒリズムがあるように感じる。

日本の視聴者はこういうエンディングに慣れていないので、筆者にも衝撃であった。

おそらくヨーロッパの視聴者もアメリカの視聴者も慣れていないだろう。映画は、テレビドラマより深刻度が高いが、アメリカ映画はほとんど場合、正義の主人公が勝つし、フランス映画やイタリア映画では主人公の不幸も多いが、まあ納得できる理由があってのことで、こんな終わり方はまずない。

イギリスの視聴者が、こういう結末に慣れているとすれば、それはそれで興味深い。ドラマや映画は、その国の社会心理を反映するものだ。

EU離脱もその文脈で読めるかもしれない。