都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

トランプの振子と都市化の波

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先に、トランプ現象はどこまで遡る振幅の振子と見るべきか、と書いた。

一つ目は、ベルリンの壁崩壊以後のグローバリズム

二つ目は、第二次大戦後の国際主義

三つ目は、17、8世紀ヨーロッパの啓蒙主義

それが「都市化の波」に対応すると書いた。

人類は都市化する動物であり、それは不可逆的で、加速度的であるというのが、僕の基本的な歴史観だ。

しかし、例えばフィレンツェは数百年間ほとんど変化していないが、東京はこの百年ほどかなりの速度で都市化を続けて来た。そしてこのところ一挙に都市化が進行したのが中国の諸都市である。つまり都市化には波があるのだ。

その波を500年ほどの単位の「文明史的な大波」と、50年から100年ほどの単位の「政治史的な中波」と、数10年ほどの単位の「経済循環的な小波」に分けた。世界史にとって、ギリシャ文明、ローマ文明、イスラム文明、西欧文明、近代文明などは文明史的な大波であり、戦争や革命は政治史的な中波を形成する。日本史における、律令制の成立と、南蛮文化との出会いと、明治維新は文明史的な大波であり、その他の政変は政治史的な中波を形成する。

トランプの振子も、その三つの波の振幅として、大中小それぞれのスコープで考えることができるような気がする。ほとんどの人は小波あるいは中波としてとらえているが。