都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

トランプの振子

トランプ現象と政治的性格について論じてきた。

 端的に言えば、人間の政治的性格を「A面=普遍性=都市力」と「B面=固有性=風土力」に分け、トランプ現象(トランプ個人の評価とは切り離して)をB面と位置づけた。

世界の政治力学がB面に振れているが、さて、この振子はどこまで遡ると見るべきか。

一つ目は、ベルリンの壁崩壊以後のグローバリズムである。

社会主義圏の崩壊により、世界資本主義とアメリカン・スタンダードのグローバリズムが進行しEUが形成されたが、この流れが逆に振れている。

二つ目は、第二次大戦後の国際主義である。

ドイツやイタリアや日本の民族主義ファシズムが敗退し、アメリカ主導による国際的協調が進んだが、この流れが逆に振れている。

三つ目は、17、8世紀ヨーロッパの啓蒙主義である。

ヨーロッパにおいて、科学革命と軌を一にした進歩主義と知識主義、そして教育によって国家を近代化する道が拓かれたが、これが逆に振れている。

三つとも、それなりに理屈が合うような気がする。

そしてそれは、僕がこれまでの著書で書いてきた「都市化の波=小波・中波・大波」という概念と一致する。

トランプの振子という表現が適切かどうか。まだよく分からない。