昔の芸能人は、歌、演奏、踊り、役を演じるなど、なんらかの芸能に秀でていて、客を唸らせた。銀幕のスター女優といえば絶世の美女の代名詞だった。
今のバラエティ番組やクイズ番組に出る芸能人はそうではないようだ。
特に芸があるわけでもなく、知識がある人もいれば、驚くほどない人もいる。美女やイケメンもいれば、かなりそうでもない人もいる。
とはいえ、誰にでもできるかというと、一般の人にはなかなか難しい。それなりの存在感が必要なのだ。
テレビのスタジオには、一つの小さな社会が成立していて、それぞれのキャラクターを演じている(天然も交え)。視聴者はそこに親近感を感じ、自分を投影して、社会参加する。もちろん責任を負う必要はないのだから疑似的な参加である。
前に論じた「個室の大衆」(THE・PAGE)にとって、テレビの芸能人は、キャラクターがリアルになったような存在なのだ。