都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

宿命との戦争

キューバ革命後、広島を訪れたチェ・ゲバラが言ったそうだ。

「君たちはアメリカにこんなひどい目に遭わされて、怒らないのか」

 アメリカの圧倒的な物力と闘ってきた英雄の心の叫びだろう。

僕もずっと思っていた。日本人はなぜアメリカを恨まないのだろうか。

最近、考えた。

日本人はアメリカと戦争したと思ってないんじゃないか。

じゃ、何と戦争したんだ。自らの「宿命」と戦争した。そう考えているのじゃないか。

だからアメリカを受け入れ、戦犯も首相に返り咲く。そこに恨みも、怒りも、ひょっとしたら歴史も、存在しない。宿命だけがある。

「散歩道 なきがらよけて 蝉時雨」

8月も終わろうとしている。

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