都市力と風土力

建築からの文化論を主に、時事評論を加える。

政治的性格とは

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トランプ現象から、「政治的性格のA面とB面」を語ってきた。

この政治的性格という言葉は、デビッド・リースマンが「孤独な群衆」において使った「社会的性格」に習ったものだ。

リースマンは、経済的テイクオフ(離陸すなわち急速な発展)以前の社会では、人々の社会的性格が「伝統指向」すなわち伝統の規範に従う傾向があり、テイクオフ中の社会では「内部指向」すなわち個人に内在する価値観に従う傾向があり、テイクオフ以後の社会では「他人指向」すなわち他人の行動に追従する傾向があると論じた。学生時代に読んで、なるほどと思わされた。

僕が論じてきた「大衆発信社会」というのは、この他人指向社会の延長ととらえられる。いわば現代は「過剰流動的相互発信型他人指向社会」である。さすがのリースマンも、現在のようなインターネット社会の到来は思いもよらなかったが、かなり近い予測をしていたということになる。

政治的性格は社会的性格より、絞り込んだ概念である。

民主的であろうとなかろうと、先進的であろうとなかろうと、ある社会の構成員が、政治的な選択をするときの性格を考えようということで、現在の先進国に起きている、一見、右傾反動に見える現象を、とりあえず価値観評価を加えずに、人間社会の属性としてとらえようと考えているのだ。